目を覚ました瞬間に、土方は裸のまま銀八にバスルームへと連れ込まれた。また乱暴をされるのかと思い、声も出さずに浴室の隅へ逃げて体を縮こませると優しく頭をなでられる。

「そろそろ家に帰らないとな。綺麗にしてやるよ、土方」

なだめるように撫でる方でない手で銀八はシャワーを掴んで、丁度良い温度の湯を土方が怯えないようにかけた。
冷たすぎでも熱すぎでもない心地に土方は無意識に溜め息を漏らす
その生徒の様子に銀八は思わず笑みを零したが土方は気付かない。

「どう?熱くない?」
「へ、平気です」
「そう、ならいいや」

色々な事を考えなければならないのに、目の前の男の優しさに疲れきった体が権利を譲渡しようとしていた。
思い出さなければいけない。先程まで自分は乱暴されていた。
教師と同じ顔をした、金髪の男にも助けを求めたというのに却下された。この家には土方の味方は誰も居ない。
抵抗し逃げなければいけない。
それなのに体は一向に動こうとはしなかった。
相手の柔らかい対応に全てを委ねてしまいたくなる。

「あ…っいや…!」

だが、銀八の指が臀部に触れた途端、恐怖が甦り土方は拒絶の言葉を漏らす。しかしそれを安心させるような口調で教師は言葉をかけてくるのであった。

「土方、大丈夫。お前のナカにいる精液出すだけだから。腹下したくねーだろ?」
「ふ、うぅ…」

土方をそんな目に合わせたのは男自身だというのに、まるで他人に傷つけられたのを癒すかのような口ぶりだ。
その状況に思考が追いつかず、しかし体は素直に反応を示した。銀八に自然と足を開いてしまったのである。

「そう、良い子だな。俺がお前んナカ綺麗にしてやるから、膝立ちで壁に手ついてみ?」
「こうです、か」

銀八が指示した体勢は、臀部を突き出して後ろから見れば全てが丸見えの格好だ。しかし何故か一向に恥ずかしさは込み上げてこない。自分の心境が理解出来ずに居ると、突如尻を叩かれた。

「ひゃう!?」

その拍子にゴプッと粘液が蕾から零れ、無意識に力をそこに入れてしまう。すると更にバシンという音と共に痛みが臀部に走る。

「いた、せんせい、いたいぃ」
「土方、ケツに力入れないで」
「あっあ、どうして、こんな事、ああっ」
「叩いた方が、ナカの精液出やすいんだよ」
「・・・ッ」

銀八の言っている事が本当かどうかは分からない。しかも力を入れるなとは言われても、叩かれるとどうしても蕾をきゅっと締めてしまい、彼が言うように精液が出やすくなるとは思えなかった。

「っふ、や、もう、やめて、くださ、」

バシ、バシンと何度かスパンキングが繰り返され、耐え切れず土方が音をあげると漸く銀八の手が止まった。

「たく、仕方ねーな。俺の指突っ込んで掻き出すしかねぇか」
「え、掻き出すって、あああう!」

散々叩かれた尻たぶを左右に開かれ、露わになった蕾を指で拡げられる。そしてヒクヒクと収縮するそこへシャワーの湯が入り込んできたのだ。

「な、なにを、して」
「大丈夫。気持ちよくヌいてやっから。自分が女子になったつもりで声出してみな」
「あ・・・・!」

思わず背がビクンとしなる。銀八の指が体内に突き入れられたのだ。そしてピストン運動のように出し入れが開始される。精液と湯が混ざり合い、ぐしゅぐしゅと卑猥な音を立てる。

「おーおー、すげぇ量だなァ。あのおっさん達、かなり沢山土方の中で出してくれちゃったみたいだな」
「あっう、ぁ」

掻き出すと言いながら、銀八の指先は的確に土方の開発されたばかりの前立腺を狙う。むず痒いような、気持ち良いような、中間の感覚をただ享受する事しか今は出来なかった。

「せっ、せんせ、ソコ、触るの、やめてくださ、い、」
「でもあのオッサン達、男も女も相当カワイイ子しか抱かないんだぜ?ソイツ等に土方は見初められたんだよ」
「わ、わかんな、い、ひぁああ!」

今まで触れる程度だった指が、土方の前立腺を集中的に撫で上げる。あまりの気持ちよさに崩れ落ちそうになるのを懸命に耐えた。

「あっ、ああ、ん、先生、触らないで、そっ、そこ、触る、なぁ!」
「触るな、なんて先生にそんな口きいちゃ駄目だって言ったよな?お仕置きだ」
「あん!あっあ、あ、ああぁ…!」

断続的に与えられる刺激に言葉すら発する事が出来なくなる。素早く銀八が指を動かすたびにぐちゅぐぷっと音を立てて余計に土方の感覚を麻痺させた。

「可愛い、もっと声出してみな。気持ちよくなれっから」
「はぁ、ぁ、あああん!」

更に銀八は土方自身に手を伸ばして扱いてくる。内からも外からも攻められ、可笑しくなってしまいそうだ。ガクガクと震え始める体を保たせようとしていると腰をグイと掴まれる。

「ふぁ…?」
「やべ、やっぱ我慢できねーわ。もっかい入れさせてー」

服濡れてもいいやと独り言を零すと、手早く牡を取り出しそのまま土方の返答も聞かずに体の中へと入り込む。

「あああぁ!」
「土方の中あったけー。お湯もいい感じの量でぐぷぐぷしているし」
「んっ、んっ、んんんっ」

後ろから突きつつも、土方自身を攻める手は緩められない。我を忘れて土方は喘いでいた。
もうどうで良かった。もっと突いて欲しいとすら願った。とにかく早く、この快感の果てを見たかった。

「はっ、土方、横見てみ」

朦朧とした意識で顔を上げれば、壁には鏡がかかっており少し雲ってはいるものの、自分が後ろから銀八に犯されているのが映っている。
それに興奮したのは逃れられない衝動だった。

「・・・・っ!」

直後、土方は射精した。その開放感に浸る間もなく銀八に目を閉じて口を閉じろと命じられる。
それに応じると熱いものが顔にかかるのが分かった。
飛び散った液体が咥内に入り込む。

生臭いそれが、何故かとても魅力的な味のように思えた。



「寝ちまうぞー十四郎」

ベッドの上に放り投げた携帯電話に高杉はそう呟く。
こちらから電話なりメールなり入れれば良いのかも知れないが、なんとなくそれは負けた気がする。
何より自覚していなかったが、何処かで返事がこなかったり出てくれなかったらどうしよう、という不安もあった。

「…寝るか」

悔しいが慣れぬ勉強をしたせいか睡魔が高杉を襲う。
朝起きても何も連絡がなかったら、とりあえず明日にでも心配するからメールぐらいしろと言おう。
そう心に決めて横たわろうとした瞬間に携帯電話が着信を告げる。
急いで確かめてみると、待ち焦がれていた土方からのメールであった。
しかし、高杉が期待していたような文面ではなく、たった一言の本文には

「おやすみ」

そう書かれていた。

next