「お、お尻を、ご主人様の、うっ、ぁ、で、くちゅくちゅ掻き回されて、乱暴に犯されないと、ふ、うぅ…っ」

亀頭は銀時にグリグリと刺激され、竿の部分は自分の両手で擦る。
腰の動きは止められているものの卑猥な言葉を復唱させられ、更に彼の前で自慰させられている事に土方の涙腺は限界をきたし、ボロボロと涙を零し始める。

「乱暴に犯されないと?その続きは?」
「う、あンッ!」

グン、と一突きされ、土方の前立腺が抉られた。
体勢的にも精神的にも圧迫され、息を切らせながらも土方は続ける。
そんな彼をニヤニヤと笑みながら見下ろし、ぐちゅぐちゅと尿道口を弄り続けた。

「ん、う、犯されないと…感じ、られ、ませぇ、ん…っ」

顔を真っ赤にし、それでもまだ僅かに理性が残っているのか。声の調子には、決して屈しない、という色が混じっている。
だが、そんなプライドが高い土方の事を銀時は想定していたゆえ、最後の攻めに取り掛かる。

「さ、じゃあ誓いの言葉を交わそうか、土方君」
「ひゃう!」

ぎゅり、と尿道口に親指を立てる銀時。勿論、痛みで土方はビクンと身体を跳ねさせる。

「こっからは自分で考えて?ここでどうしたらお前は、オトモダチを俺から護れると思う?」
「・・・!」

涙を溜めた土方の目が見開かれる。自身を扱いていた手も自然と止まった。

「俺が満足したら、今日はもうこの一発でやめてあげる。近藤にも手ェ出さねーって約束するよ?」

ニヤニヤと笑む銀時とは対照的に、土方の表情には絶望が広がっていく。
誓え、という事は、彼が望む事をこれから有無を言わずに叶え続けるという事。
銀時が大嫌いで、かつプライドの高い土方を、好きにするという権利を。

ギリ、と土方は歯を噛み締めた。
まだ相手の横っ面をはたく力ぐらいは残ってる。だが、そんな事をしたら、総督である彼は友人達にどんな仕打ちを下すか分からない。なら、選択肢はやはり一つしかなかった。

「…俺、はご主人様の好きな時に…ぐちゃぐちゃになるまで抱かれても、構わない事、を…」

土方は言い終える前に、銀時の深紅の瞳を見入った。その色は支配者の色だった。

「誓い、ます…」

見ていられなくて土方は視線を落とすも、自分の秘部に銀時のモノが突き刺さっているのが視界に入ってしまう。
どうしようもなく、瞼を閉じるしかない。

「はは、なんか全然そそられねー台詞だけど」

れろり、と銀時の舌が土方の輪郭を舐めた。

「結婚式で、神に誓う言葉っぽくていいんじゃね?」
「…っ!!」

言い終えると、再び土方の腰を持ち上げて律動を始めた。

「あっ、あっ、あぁ、んう…」

ぐちゅぐちゅと結合部の水音と肉がぶつかりあう音が鳴る。快感に理性が押し流される前に土方は喘ぎつつも叫んだ。

「…ふっ…う…よく聞けよ。あっ、ぁ、俺の身体は勝手にすんのは構わねーが…」

前髪が汗で額に張り付く。涙が頬を伝っていく。

「心は、あ、ン、テメーには渡さなない…っ!」

すると銀時が嘲笑するように口元を歪ませて『いらねーし』と囁いた後。
土方は滅茶苦茶に犯された。
突かれながら悲鳴を上げ、涙で滲む天井を見上げ、温かいものが体内に放たれるのを感じ、そこで意識が途切れた。

ゴムを持っていたくせに、つけずにきっと中で出したのだろう。
どこまでも惨酷な男だと感じた。

「う…」

目を覚ました時には、もう教室は薄暗くなり始めていた。
暫く意識が混濁しつつも感覚で下着とズボンは履いているのは分かる。
目を開いて眼球だけ動かせば、制服のジャケットが上半身にかけられていて。

「痛…ッ」

起き上がろうとして、鈍い痛みが背中と腰、そして肛門を襲った。
変な汗が背中から噴出したが、深呼吸してゆっくりと身体を起こす。
机の上で寝かされたままの状態だったから、圧迫されていた血管が血を通し始めたのを感じた。

「…起きたか」

誰も居ないと思っていた教室に、聞いた事のある声が響く。
ビクリとしてそちらへ目を向けると、そこには桂小太郎がいた。

「かつら…?」
「銀時の事だ。どうせ貴様の事を放って来たのだろうと思ってな」

そう言って、ペットボトルを投げてくる。受け止めると、未開封の水が入ったものだった。

「立ち上がれるか?」
「へ」
「ほら、手を出せ」

今までまともに話した事のない桂に手を差し伸べられる。
戸惑いつつも、疲れきっていた土方はそれに応じた。

「貴様の荷物はこれだけか?」
「お、おう」

制服のジャケットを着ていると、鞄を持ち上げて問われる。コクリと頷くとそれを渡された。
すると、行くぞと桂は言う。
身体が痛む土方に気を使ってか、彼の歩く速度はゆっくりだ。

「本当なら駅まで送ってやりたい所だが、また生徒会室に戻って仕事をやらねばいけないんだ。
 戻るのが遅いと銀時にも勘付かれる」
「…俺の所に来たの、秘密、なのか?」

言っていることからして、桂は銀時に土方が何かされたのを心配してここへ来てくれたのだろう。

「ああ。だから貴様も銀時には言わないでくれ」

そう言って桂は俯く。
コイツが落ち込む事じゃねーのに…と土方が思っていると、相手は再び口を開いた。

「…俺は正直、銀時と貴様の間に何があったかは知らないし、訊かない。
だが、俺から言えることはアイツを刺激しないで欲しい、という事だ」
「刺激?」
「生徒会室に戻ってきた銀時が、珍しくイラついていた」

そう言って、土方をまっすぐ桂は見つめてくる。
まるで俺達に介入しないでくれ、と言っているように。

別に刺激したつもりはないし、仕掛けてきたのはアイツだ。
そう言いかけてふと、彼は知っているのだろうかと土方は思う。

銀時があれだけ周りを嫌い、傷つける理由を。

「じゃあ、気をつけて帰るんだぞ」

だが、訊けなかった。全ては土方の憶測の範疇でしかないのだ。
生徒会室がある別棟へ向かう桂の後ろ姿を見送りながら、ふと持っているペットボトルを思い出す。

「おい、桂!この水…」
「貴様にやる。うちの総督が無茶した、せめてもの詫びだ」
「・・・」

結局、猿飛も桂もどこまで、銀時の何を知っているのだろう?
桂はともかく、猿飛は銀時に関しては盲目的な所がある。
ならば彼女より桂の方が話が通じそうだし、何か握っているかもしれない…。

それよりも、あの一年の眼鏡坊主…新八といったか。
彼をせめていった方が、城壁を崩せるか…?

などと電車の中で考えながら、土方は体の痛さを紛らわす。
学園祭のコスプレの事も重なり、また明日も気苦労が耐えないのか…そう思いながら家の扉を開ける。
この時間帯は、仕事を終えた母親がもう帰ってきている時間。

「ただい…うお!?」
「おっかえりなせィ、土方さん」

玄関を開けた途端、総悟のどアップが待ち構えていたものだから、思わず土方は奇声を発する。
そんな彼に対してニヤリと私服の総悟は笑みながら土方の頬に触れた。

「ななななーんでてめぇが家にいんだ!」
「あはは。そんなに動揺しちまうくれェ、俺に会いたかったんですかィ?」
「違ェよ!・・・普通に驚いてんだよ…」

ツッコミで叫びかけて、大声を出すと身体に刺激を与えられる事に気付き、土方は声のトーンを抑える。

「さて、土方さんの顔見れた事ですし、俺は帰りまさァ」
「はぁ?」
「あら、総君。お夕飯食べて行きなさいよ」

家の奥から、土方の母親が言う。どうやら夕飯を作っている最中だったようだ。

「お心遣い感謝しやす。でももう夕飯買って、家にあるんで」
「…無理しなくていいのよ?総君はもう、家族のようなものなんだし」

彼女の言葉を聴いた途端、総悟は土方の手をとって目を輝かせる。

「大変でさァ!お母様公認の仲になっちまいやした、土方さん!俺、絶対に幸せにしてあげますぜィ!」
「何が公認だ!幼馴染って意味だろ!?」

土方が怒ると、また総悟はあははと笑い、『じゃあ、お邪魔しました』と言って帰ろうとする。

「ま、待てよ…」

玄関に土方は鞄を置くと、家へ向かって歩き出す総悟を引き止めた。

「何か俺に用があって、家に来たんじゃねーのか?」
「…近藤さんが、最近トシが元気ないって言ってたから」

夜道に吐き出すかのように、しかし総悟はポツリと呟く。土方は思わずドキリとしてしまった。

「確かに最近、土方さん…なんか俺達と一緒に居ないし、元気ないみたいだったし…俺も心配になったんでさァ」

でも、と彼は顔を上げる。

「俺にあれだけ突っ込む元気あんなら、平気かなって安心しやした」

『俺、今日坂田にレイプされたんだ』

そう言ったら、心配で土方の家にやって来た総悟はどんな顔をするのだろうか。
きっと彼の事だから、銀時を半殺しにでもしに行くんだろうな…そんな想像を一人でして、土方はなんだか可笑しくなってしまう。

「…何一人で笑ってんでィ」
「別に。なぁ総悟。母さんじゃねーけど…マジ、いつでも家に飯、食いに来て良いから」
「へぇ。そしたら今度、ついでに泊まりにきまさァ」
「そうしろ」
「はい、じゃあまた明日。…土方さん」
「ああ、おやすみ」

帰り道を行く総悟の小さな背中を見ながら、やっぱり銀時にされた事は彼には言えない、と土方は思う。

家に入って母親の用意した夕食を食べ、トイレで拭いたり力んだりして出された精液を排出し、風呂では念入りに身体を洗った。なるべく銀時の事は思い出さないようにして、宿題をし、布団に入る。

―疲れた。
そう、うとうとまどろみかけた意識の中。眠る直前に浮かんだ言葉は『明日、坂田に会ったら挨拶をしよう』という、自分でも意味不明なものだった。

「近藤さん、おはよう」
「おっ、トシ、総悟!おはよう」

翌日、少しだけ回復した身体で土方は学校へ向かった。
普段通りに総悟、そして近藤に会い。

「あっ!おはようございます副長!それであの、総督の弱み見つけるの無理でした!あの生徒会の隠密、猿飛あやめのガードが強すぎます!」
「…山崎ィ、お前、胸張って言える事か、それは?つか、諦めるの早すぎだろ。昨日の今日だぞ」

ゲタ箱では山崎や

「副長、えいりあんvsやくざのプレミアムDVD見つけました!早速お貸しします!」
「本当か?でかした原田」

廊下では原田に会う。
そして――

「おはよ、土方君」

呼ばれて、ビクリと土方は身体が強張った。
視線の先には、今日も取り巻き達に囲まれた銀時がニヤニヤしながらこちらを見てくる。
土方の後ろには、近藤達がいるのだ。動揺は見せられない。

「ああ、おはよう」

銀時はきっと土方が怯える様を期待していたのだろうが、微塵にもそれを出さなかった。

「総督閣下」

むしろ微笑みさえ浮かべて土方は挨拶を返した。
生徒会と風紀委員があまり仲が良くないのを知っている取り巻き達は、『あの土方が総督に挨拶をした』という事に驚きを隠せずに居るようだ。

大丈夫だ、総悟。

土方は心の中で呟き、予想外の反応に驚いた表情をしている銀時を見て目を細める。
登校してきた猿飛と桂も俺に視線を向けているのは分かったが、気にしなかった。

心配はいらない。この生活は、絶対に壊させない。
総悟、だからお前が不安に思う事は、一つもないからな。

俺が、傍に居るから。

それが約束だから。




*


「ひーじかたくーん」

授業が始まる直前。土方はトイレにいた。
手を洗おうと洗面台の前に立つと、嫌な声に名前を呼ばれて溜め息をつきたくなる。

「抜くの、手伝って?」

銀魂学園は新設校な為、男子トイレでも比較的華美な造りになっている。
洗面台も、鏡が一面に張られており、出入り口になる所には大きな姿見もあるのだ。

「ん、ぅ」

なるべく、その鏡の方には視線を向けないように土方は目の前にある、銀時の雄に舌を這わせるのに集中した。

「ちゃんと根元の方も舐めろよー」
「ぴちゅ、んん、くちゃ」

『もう授業が始まるから勘弁してくれ』と言っても、『ちょっとぐらい遅刻したって良いじゃん』と返してくるのが銀時だ。
彼の足元に跪き、ペニスを口に含んだ所で授業開始のチャイムが鳴った。
今までサボりも遅刻も、ましてや欠席もした事がない土方はどこかで今自分が、スリルを感じている事を気付かないフリを懸命にする。

「もういいや。手ぇついて、お尻上げて…」
「ちょ、待て!昨日みたいに中出ししたら許さねーぞ!」
「はいはい。まだ授業あるし、ちゃんと外に出すよ」
「ん…ッ」

昨日、ローションで慣らされたソコへ銀時は、自身の先端をあてて先走りの液をぬちぬちと塗りつけた。
土方はその行為を耐えつつも、目の前の鏡には銀時に弄られている自分が映っているのを視界に入れてしまう。

「なあ、じゃあ昨日の俺の精液どーしたの?自分で出したわけ?」
「いあっ!」

ツプン、と亀頭が入り込んでくる感覚に思わず声を上げる。

「…っ、あぁ、そうだよ…テメーの汚い種、掻き出してやったよ…っ」
「ほーんと、口減らねー子だよね、土方君って。じゃあ目の前の鏡見てみなよ」
「…ッ!」
「やらしー黒髪の子が犯されてる姿、見えるよなぁ?」

鏡越しに睨みつけようと顔を上げたのに、逆に不敵に笑まれて土方は言葉を失う。
きっとこれでは相手の思う壺なのだろう、と。
銀時に後ろから突かれながら、授業に遅れた言い訳を必死で頭の中で巡らせた。

「ねぇ、明日暇?」

スッキリした顔で、トイレットペーパーで性器を拭きながら銀時が訊いてくる。
逆にげっそりとしながら、土方は明日…?と予定を思い出す。

「明日って…学校休みだろ?暇だけど」
「そ。じゃあ、1時に渋谷のハチ公の前で待ち合わせねー」
「1時に…っておい?なんで俺が休日までテメーに会わなきゃなんねーんだ」
「来なかったら、お前の恥ずかしい写真ばら撒くからな。そんじゃ」
「お、おい!?坂田!」

したい事し、言いたい事を言うだけ言って銀時はトイレから居なくなった。
一人残された土方は、明日もまた何かされるのかと背中に恐怖の汗をかく。

う、嘘でも良いから暇じゃないって言えば良かった…!

だが土方の心配とは裏腹に、銀時の意外な一面を彼は知る事になる。

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