「あっはは、何言ってんスか、
俺が副長の触るなんて昨日と一昨日、
二夜連続放送の勢いで見た夢の内容みたいな事…
ってえええぇぇええ!!!?」
「総悟ぉお、テメっさっきから
どさくさに紛れて爆弾発言しすぎだコラ!
つーかこのアイマスク外せ!何も見えやしねぇ!」
「そうですよ馬鹿!沖田隊長の馬鹿!!」
何故かギャーギャー騒ぎ出す二人に、
本当に理解出来ないようで総悟は
”なんでィ、うっせぇな”と呟く。
そして威嚇し続ける土方の頬をペロリと舐め上げた。
「いぃ!?」
「何も見えないのは当たり前でしょう…
俺の特製睡眠用アイマスクですぜィ?
そんな滅多な光なんざ視界に入りやせん…」
言いながら舌なめずりをし、
土方の制服の上からツツッと華奢な指を這わせていく。
ひく、と彼の身体が反応して頬に朱が差しはじめた。
「ば、総悟っやめろ、山崎がいんだろ、そこに…ッ」
「いやすが何か問題でも?
これからもぉっと沢山の人の前で、
恥ずかしい事して恥ずかしいコト言わなきゃいけないんですぜィ」
「あ…ッ」
総悟の撫でる指が敏感な所へ辿り着くと、より一層甘くなる声。
羨望と欲望の入り混じる目でいつも見ていた山崎は、
繰り広げられる彼の痴態に
心臓の動悸が異様に早くなっていくのを感じた。
…なんだコレ夢か!?
そうだ、きっとそうだ山崎退。
これはいつも卑しい視線で副長を
視姦していた俺の見せた夢だ。
最近ミントンやってないからきっとたまってるんだ。
色々。
そう色々。
だって副長怒るんだもん。
ま、いっか。起きたら早速ミントンしよう。
全く、副長使ってこんな淫猥な夢見るなんて
退ったらイケナイ監察…
「だめ、ったら、ぁ総、悟…!」
「(現実だぁあああああ!!!)」
ゴン
目の前の光景によく分からない言い訳をしていたが
部屋に響く愛しい彼の淫らな声に現実だと思い知らされ、
叫んでそのまま倒れてしまった。
「…?なんか今、ゴンとか言う強烈な音が…」
「あー何か、山崎が泡吹いて倒れた音でさァ。
さっこれで心置きなく準備体操できます
ねェ、土方さん…」
「えっちょっと待てや、
これ以上は、触んな…ッ」
視界を黒で塗り尽くされてしまっている為、
次に総悟が何処を攻めてくるか土方には分からない。
必死で今まで触れられていた下半身をガードしようとすると、
今度は制服のジャケットをめくられる。
「ジャケットめくりーィ」
「くそ、ふざけた事…ひァんッ」
棒読みで淡々という総悟に渾身のツッコミを入れた瞬間、
土方はゾワリをしたものを臀部に感じる。
アイマスクをされていなければすぐさま目で確認する所だが、
直接見なくても総悟の手に尻を撫でられている、
というのは容易く理解できた。
「そ、総悟、なに、し、て…!」
「おやおや、言わなきゃ分かんねェんですかィ?
土方さんのケツ撫でてるんでさァ…
ああ、今すぐズボンとパンツずり下げて、
アナル舐め回してやりてぇなァ…」
「ぶ、物騒な事言ってんじゃねぇ!もうやめろ!」
いやらしい手つきで、
彼の指は柔らかい部分を掌で土方の尻をこね回しながらも
割れ目の部分を指で必要以上になぞるのも忘れない。
抵抗の言葉ばかり口にしていた土方だが、
段々と漏れる息に余裕がなくなっていく。
「あっ、あぅ、も、や…」
「へぇ…?その割には嬉しそうに腰が揺れてますぜィ…」
「ちがっ、違、くぁ!?」
「本当、耳弱いよなァアンタ」
後ろからカプリと耳たぶを噛まれ、
どこからか分からない攻めに限界を感じた土方は
アイマスクを外そうとするも
すぐに総悟にその手を奪われてしまう。
「俺の許可ナシで取ろうとするたァイケナイ子でさァ、土方さん。
これは皆の前できつぅぃお仕置きが必要ですねィ(はぁと)」
「何言ってやがる、てめぇが勝手に…あっ、もう撫でるな…ぁ」
「そんな事言っても、本当は嬉しいんでしょう?
素直になりなせェ」
言いながら、総悟の手が今度は土方の下半身へとのびる。
どうしようもなく悲鳴を上げて首を振る事しか出来ない。
「あっ、あぁ、もう、無理…」
意識がぼやっとしてきて、
このまま身体を委ねてしまおうかと思った時だった。
「はーい、カット!」
「…ぁっ!!…え…?」
カットと言われましても、と土方の中で思考が止まり
同時に周りがザワつき始めた為に
嫌な予感で悪寒が背中を駆け抜ける。
まさか、まさか、まさか…!!
「かートシ、おめぇ演技上手いなぁ。
オジサンちょっと驚いちゃったよ」
「トシぃいい!俺、ちょ、とっつぁん!
やっぱ見てらんない!」
「馬鹿言うな近藤。
お前の部下がきちんと仕事をやり遂げる所を
最後まで見届けろゴリラ」
「ゴリラ!?今さりげなくゴリラって
言ったよねとっつぁん!?」
「はーい土方さん。『演技』お疲れっしたー」
無理矢理アイマスクを剥ぎ取られ、
眩しい世界の向こう側にはニッコリ微笑む総悟の姿。
そんな彼とその背後を口をパクパクとさせて土方は見る。
やはりというか、案の定、いつの間に松平と近藤、
そして撮影スタッフ達が戻って来ていた。
「そ、総悟、まさか今までの全部」
「あァ初めからじゃないでさァ。
土方さんにアイマスクつけて山崎がぶっ倒れた辺りから
戻ってきて撮ってたかなァ…
臨場感があって演技とは思えないって
スタッフさん達が褒めてましたぜィ?」
それは臨場感が十分に漂っていただろう。
何せ土方は演技どころか、
本気で総悟に追い詰められて愛撫されて鳴いていたのだから。
確かに総悟の言う通り、
これからこれ以上の事をするのを
覚悟はしていたがあまりにも不意打ちすぎる。
「てめっいつまで気絶してやがるつもりだコラ!」
「ぐはあ!」
沸々としたやり場のない思いが込み上げ、
なぜか気を失っている山崎をギッと睨んで
歩み寄ると思いっきり殴りつけた。
「副長ぉおお!ダメです、その角度で踏みつけたら全部丸見え…」
「山崎ぃいい!!ダメなのはテメーの脳みそだ!!」
普段の日常通りに行われる山崎への土方の暴行を、
少しだけ嫉妬入り混じる視線で見ながら
総悟は松平と近藤の隣に立つ。
「とっつぁん、次は一体どうしたらイイんでさァ」
「とりあえずシナリオ的に行くと、
この後トシが茶ァ零して風呂場行って」
「行って?」
「剃毛」
アレ。
今、俺の聞き間違いでなければ
江戸を守る警視総監が剃毛とか言っちゃいましたねィ
と心の中で思いつつも総悟は再び訊く。
「マジでか。
ちなみに剃るって、土方さんの下の毛ですよね?」
「そうなんだけどよー。
あのトシが素直に剃らせてくれるワケがなさそうなんだよなー
また近藤に頼ませてみるか」
「ふふん、とっつぁん。
まァ任せてくだせェ。
俺があの人をアンアン言わせてる間に、
バッチリ剃毛シーン、撮らせてあげまさァ」
総悟は言うと、『さ、じゃあ撮影再開しましょうぜィ』と
鼻歌交じりに言いながら一方的な暴動を繰り広げている
土方と山崎の方へと戻っていった。
総悟の言動に末恐ろしさを感じず、
むしろ任せろ“なんて言うなんて成長したなぁと
感心する松平と近藤なのであった。
(故に、総悟の土方へのドS行為は誰にも止められない)
(約一名を除いて)
「じゃっ土方さん。
この湯飲みのお茶、全部ぶち撒けてくださいね。
股間に」
「なんで股間なんだよ」
ニッコリ笑んでぬるめのお茶を渡してくる総悟に
すかさず土方は突っ込みを入れる。
更に彼の隣で控えていた(そして、ようやく状況を理解した)
山崎も口を挟む。
「副長、沖田隊長から渡されたものはヤバいですって。
絶対何か入ってますよ」
「なーんか言ったかィ、山崎。
おめーの口にも卑猥なモンぶち込んで
喋れなくしてやろうか」
「おーい、撮影が始まらないからそろそろ下がれ、ザキー」
また総悟と山崎の戦いが勃発しそうなのを見かねた松平が声をかける。
渋々二人から離れる山崎を見ながら、土方は総悟に耳打ちした。
「総悟、俺何も詳細知らされてねーけど、
これこぼした後はどーすんだ」
「安心しなせェ、
土方さんは俺に身を任せてれば全て事は進みまさァ」
「…安心出来ねェから訊いたんだけどな…」
はぁあと土方は溜め息をつき、なるべく周りを見ないようにした。
なにせ辺りは撮影スタッフと撮影機材のカメラや
スポットライト、マイク、その他諸々の
よく分からないもので囲まれており、余計に緊張するからだ。
しかし、そうすると必然と山崎曰く、
多分何かが入ってるお茶に目がいく。
今まで経験上からして入ってるとしたら媚薬だろうが、
さすがにこんな大仕事の前に
いくら総悟でも入れる筈が…ない。多分。
「はーい、じゃあ続きいきまーす」
「トシ、リラックス!」
普段なら嬉しい近藤の応援も、今ではプレッシャーにしかならない。
彼の前で痴態をさらすのは
顔から火が出る程恥ずかしい事だが、
それでも真選組の為にやるしかない。
覚悟を決め、土方は深呼吸した。
「ああ、土方さん。お茶の時間ですかィ」
「…お、おう、まぁな」
何故か自然体で話してくる総悟。
負けじと応えようとした所、
まだ自分の中でこぼすタイミングではなかったのに
手から湯呑みが滑り、盛大に零れる。
しかも狙っても居ない股間に。
バシャッ
「うげ」
「あらら、なーにやってんでさァ、アンタ。
子供ですかィ」
「うるせーな…あっ、ちょ、やめ…ッ」
ハンカチを取り出した総悟が、
躊躇なく零した茶を拭こうと股間を撫でてくるのだ。
嫌でも反応してしまうのが土方の身体。