普段通り鼻をほじっていた銀時だが、思いも寄らぬ人物からの電話に思わずその指を思い切り奥へ突っ込んでしまう。
「チャイナが出たらどうしようかとも思ったんだが、こんな時間じゃねーとお前はつかまらなさそうと判断してだな…」
「あだー!ちょ、待て、待って!鼻血出た!ちょ、どうしようコレ!」
「はぁ!?なんでそこで鼻血出すんだよ!?とりあえず受話器置いて鼻拭いて来い」
「は、はーい。ごめんなはい」
地味に溢れる鼻血を抑えながら銀時は土方に言われた通りティッシュを取りに行く。
この騒ぎでも起きてこない神楽と定春に感謝しつつつも、内心は冷や汗がダラダラであった。
(なになになに、なんで土方君から電話!?なんで?どうしよ。まさか別れ話とか?
いーやー落ち着け。土方君はどっちかっていうと電話より直接会って振るタイプだろ…って!まさかっ!今から呼び出して別れ話する気かぁあマジでかぁああ!)
勝手に土方の意図を深読みしながらも、これ以上待たせてはいけないと思い、気まずいのも忘れて電話に出直す。
「すみません。お待たせしました。…えと、おはようございます。坂田です」
「は?え、ああ。はよ」
「で、あの。ご用件は、何ですか」
自分でも意味不明なことを口走っている!と自覚はしているが、どうしたら良いのか分からない。会いたい気持ちが増えていく一方だったのに本当に別れ話だったらどうしようと変な予想だけがグルグルと頭で回る。
「用件は、だな」
「うん」
(あぁ!?どうしよう、躊躇ってる!やっぱり別れ話か!?)
「その…今夜、お前空いてんのか」
(あー!どうしよー!やっぱり呼び出しだよ職員室に呼び出しだよ!助けてお母さーん!)
「空いてる、けど。なんで」
(って俺お母さんいねーよ!どうしよう、ここは結野アナに心の叫びを…!)
「…俺も、空いてるんだ。この間の事件で疲れてるんだろうって、いきなりオフ貰って。だから、その、だな」
(あああさようなら俺の青春…って、ん?オフ?)
「今夜、花火大会あんだけど…一緒に行かねーか…?」
土方が電話口の向こうで、真っ赤になって縮こまっているのが銀時には容易に想像出来た。
だが彼の発した言葉の意味が、理解は出来ているのだが本当にそれで良いのかと疑ってしまう。思わず返事を出来ずにいると、居た堪れなくなったのか土方が怒り出す。
「ンっだよ、何か言えよ!ダメならダメで正直に言えってんだよ!」
「いや、あのね、違くてね。放心しちゃって」
「は?」
「あの。それはつまりデートのお誘いで宜しいの?」
「…ッ!」
確かめるように問うと、僅かな沈黙の後に『そうだ。悪ぃか』と不服そうな声が返ってくる。なんだかその返事は素直じゃない土方の象徴のようで可笑しく思えて…
愛しすぎて、仕方なかった。
「ううん。一緒に行こ。俺も土方君の事、誘おうと思ってたんだ」
「え…?」
「神楽は『今年はよっちゃん達と行くアル〜』とか言うしさ、新八は『お通ちゃんのライブがありますんで』とか言うから、俺、ちょうど一人になれるんだ」
「…そうかよ」
本当はこちらが誘うつもりだった事を告げると、照れ隠しなのか小声で応えてくるから土方にはバレないように銀時は笑った。
「あ、じゃあさ。行く前に家においでよ。変装して行きましょ?
いやーでも嬉しいな。俺は屋台でわたあめとか杏飴とか甘味取れるし、多串君の好きな金魚も取りに行けるね」
いやいや金魚もどうでもいい!と怒る土方に、銀時は『照れんなって』と笑いながら返してやった。
「なんか…お前、黒髪が似合うんだが似合わないんだか分かんねェな」
「ひっど!銀髪は目立つと思ってムースで黒く染めてみたのによォ!」
「はは。まぁ良いんじゃねーの」
「(土方君が笑った…)」
神楽が定春を連れて友人達と一緒に出掛けたのを見計らい、土方を万事屋へと呼んだ。
とりあえず周りの目にあまり触れないように、嫌でも目を惹く銀髪を銀時は黒にし、若草色の浴衣を羽織る。
「ひーじかーたくーん。というかなんで着流しなわけェ?俺、浴衣持って来てってゆったじゃん」
「うるっせーな。着流しも浴衣も変わんねーだろ」
「…そう言われたらお仕舞いですけど」
だが、本当は浴衣姿の土方も見てみたかったと銀時は思いつつ。
土方にも変装として長髪のウィッグをつけさせ、それを一つにつむじの辺りで結んでやる。
まぁこの格好なら、すれ違う程度なら真選組の副長と万事屋の主人だとはバレないだろう。
「じゃ、準備も出来たし行きますか。えと…トシ君」
「…おう。銀」
とりあえず、祭の間は呼び方も変えてみる事にした。
神楽には花火大会が終わったら志村家へ泊まりに行かせて貰う事になっているし、何も気にせずに土方との時間を堪能出来る。
「お前、はしゃぎそうだからな。はぐれんなよ」
「はーい、奥さん」
「誰が奥さんだァアア!!」
心底、銀時は浮かれていた。自分が兵器なのも忘れ、土方に沢山の秘密事をしているのを忘れ。
今だけは、彼の事しか考えられず…彼の傍に居れる事がただ嬉しかった。
「多串君!ほら、金魚!!」
「いや、すみません。だからいらないんですけど」
左手には杏飴、林檎飴、ワタアメ、チョコバナナを持った銀時は嬉々として土方にすくった金魚を差し出す。
マヨたっぷりのお好み焼きを食べながらうげ、という表情で答える土方に、んだよノリ悪ィなーと言いつつ銀時は金魚を押し付けた。
「つーか俺は多串君じゃねぇっつってるだろーが」
「あ、トシ見て。すごい、ベッコウ飴も売ってるよ」
「聞いてねぇってかさりげなく切り替えただろ!むしろそれ以上飴を食う気か!?」
そう怒りつつも、渡された金魚を横目で見て様子を伺っている土方を銀時は見逃さない。
嬉しいのか気になるのか分からないが、そんな彼の仕草が一々楽しい。
「おー射的あるよ。勝負しよーぜ、トシ」
「はぁ?やんねーよ。テメー一人でやってろ」
「ありゃりゃ。もしかして銀さんに勝てる自信がないのかなぁー?」
「…上等だ、コラ」
ほくそ笑みながらわざと挑発するような事を言うと、予想通り土方はのってくる。
「親父、2人分を一回ずつ。あとこの金魚持ってろ」
「へいよ、兄ちゃん」
自分が今は鬼の副長ではなく、一般市民を装っているのを忘れているのか随分と横柄な態度を土方は取った。
(まーいいか。土方君のおごりっぽいし。つか金魚わざわざ預けたよこの子。さては気に入ったな!)
「じゃ、6個ずつな。本当は5個ずつなんだが、一つに結んだ兄ちゃん別嬪だからサービスしてあげよう」
「オイオイ、おっちゃんよう。確かにコイツが美人なのは認めるが、この子がサービスとかそういうのは俺のみになんで」
「ぎ、銀!テメェ、何意味不明な事ぬかしてやがんだ!勝負始めるぞ、勝負!」
銀時の無茶苦茶な言葉に苛立ちつつ、土方は渡された弾を銃口に詰め始める。
勝負事となると張り切るのが土方だ。だが、いくら恋人と言っても勝負を銀時も譲る気は更々ない。
「じゃ、始めますかー。あ。あの電動歯ブラシ当てたら、銀さんにちょうだーい」
「誰がやるか。真剣勝負だぞコレは」
「・・・」
先程まで金魚に夢中(少なくとも銀時にはそう見えた)だった土方が今では戦闘モード。
くだらない口喧嘩やグダグダになったゲーム対決などはしてきたが、こういったまともな勝負事は初めてだ。
お手並み拝見―銀時はそう思ったが、勝負は1分もせずについた。
「ねートシぃーカードセットあげるから機嫌直してー」
「…いらねーし。機嫌悪くねーし」
土方の機嫌を伺いながら顔を覗き込むと、明らかに不貞腐れた表情。
結果は銀時の圧勝であった。念願だった電動歯ブラシと、後は新型ゲーム機、ドッキリマンのレアカードセットを見事に手中に収め。。
それに比べて土方は、一つも手に入れられなかったのである。
ゆらゆら黒髪を揺らせて前を歩く彼を見ながら、どうしたものかと銀時は悩む。
まさか土方がここまで射的に向いてないと思わなかったのだ。
「ふん。どーせ何か景品当てたって荷物になるだけだしなッ」
「(うわっ、すげー負け惜しみ!)ま、そーね。トシ君には俺がとって上げた金魚あるもんねぇ」
「まぁ…そうだな」
銀時は思わずあんぐりと口を開ける。
絶対に土方の返答は『はぁ?大体こんな金魚なんかもいらねーんだよ』というのを想定していた。
なのに、返ってきた言葉は肯定の言葉。なんだか嬉しくなる。
(そんなに喜んでくれた?俺があげた金魚…)
「あ、ねぇ。お面つけよーよ。それの方が祭らしくね?」
気持ちが舞い上がった銀時は、お面が並んでいる屋台を見つけてそう言う。
「俺がぴかちゅーでぇ、トシ君がぴちゅーね…って、アレ?」
何種類かのキャラクターもののお面から一つ手に取り、話しかけた銀時は、ふとそこで隣に居る筈の土方が居ない事に気付く。
辺りを見渡しても、浴衣に身を包んだ知らない人間が行き交っているだけだ。
「土方…くん…?」
彼を見失ったというだけで、言いようのない不安が銀時を襲う。
とりあえず銀時は選んだお面を2つ買うと急いで土方を探し始めた。
しかし花火の打ち上げ時間が近づいているせいか人の量が多く、中々見つけ出せない。
(もう、はぐれるなって言っといて自分がはぐれてんじゃねーか。土方君のバカ…)
『銀時。お前は良いなぁ』
人を掻き分けながらふっと土方の分のお面が目に入り。そこで嫌な言葉が銀時の頭を掠める。
『お前は、白夜叉っていう面を被れて良いなぁ』
あれは、攘夷戦争に参加して間もない頃だった。
戦に一度だけ出て――…相手は天人とは言え、命を殺めるという行為に耐え切れなかった男に言われた言葉だった。
『殺人兵器みたいに、白夜叉っていう面を被って命を奪えて良いなぁ』
戦から去る際の男にそう言われた。
何故去るのか。それは耐え切れないからだ、と言われた。
殺人鬼の面を被ったお前のように、俺は誰かを殺せない、と。
「と、し。何処だよ…?」
まるで銀時が臨んで戦いに出ているかのような言われようだった。
……閉じていた記憶が溢れ出す。
途端に眩暈すら覚えてすれ違う人々の声が反響しているかのようにぐわんぐわんとして、よく聞き取れない。
「土方君…見つけて…」
「おい銀、大丈夫かよ?」
自然と零れた救いを求める言葉。それに応えるようにかけられる土方の確かな声。
ハッとしてその方を見つめれば、肩で息をした彼が心配そうな顔でこちらを見る。
「ったく、はぐれるなって言っただろうが。何してたんだよ」
「ごめ…あの、銀さん。お面、欲しくて」
土方の為に買ったお面を差し出しながら、自然と喉が震えた。
それは安心したからだ、という事に気付く。
――銀時に親の記憶はない。
だが、迷子になった子供が親を見つけた瞬間はきっと、こんな感動を覚えるのだろう、となんとなく感じた。
だが、そんな自分の心境を知らない土方は、恐らくいきなり居なくなった銀時を焦りながら探してくれたのだろう。それは、土方が息を荒くしている事から容易に想像出来た。
「大体、お面ってなぁ…良い齢した大人の男が揃ってこんな…」
「だっ、だよな~。もう俺ってば舞い上がっちゃってホップステップ週刊少年ジャンプしちゃった〜みたいな〜」
そう言って、差し出しかけたお面を引っ込めようとした。
が、それよりも早く土方の手が伸びてそれを受け取るから目を見開く。
「仕方ねーな。今日だけだぞ」
しかし受け取ったのは良いがさすがに恥ずかしいのか、うぅ…と言いながら土方は顔にはつけずに頭にチョコンとつけて見せた。
それを見た途端、銀時はつけてくれた嬉しさよりも土方の頭にキャラクターの面がついてるのが面白くて思わずふき出してしまった。
「…てっめぇ。何をさりげなく笑ってやがる」
「う、クク。ごめぇん。ほら、俺もつけるから」
「・・・。
というか何なんだよ、このキャラ。タヌキか?」
「えっ、違うよネズミだよ!知らないのボケモン!俺がぴかちゅーで、トシがぴちゅーなのよ。あ、トッシー呼び出せば分かるかも…」
「いい!トッシーは呼ばなくていい!!」
必死になって己の中のオタク魂を起こさないようにする土方を見て、またも銀時は笑いたくなる。
良かった。
銀時はそう思った。
あそこで土方が見つけて声をかけてくれなければ、閉じ込めていた黒い感情がまた息を吹き返す所だった…。
「あ、始まった!」
パアッと辺りが明るくなり、その後にどこからか聴こえた声。反射的に顔を上げれば夜空に輝く炎の華。どうやら花火が打ち上げられ始めたようだ。
「花火…」
見上げて、呟いた土方が徐に手を差し出してきた。
「え」
「行くぞコラ。…今度ははぐれんなよ」
「…はい」
想いを確かめ合ったあの日を思い出す。観覧車から降りたあの瞬間。
手を差し伸べたのは銀時の方だった。
だが、今度は土方の方から。その顔は不機嫌そうで、言葉はぶっきら棒だけれど。
(ねぇ土方君。知ってる?伝わってる?俺の今の気持ち)
はぐれないように手を繋いだ。今度は迷わないようにと固く握り締めた。
いずれ失われてしまう感覚。
だがせめてこの感触だけは覚えておきたいと、土方の手の形を銀時は頭の中に刻みつけた。
「うっわ。人多すぎ」
屋台の並びを抜け、花火が見えやすいという川原へと出る。しかしそこにはもう多くの人々が居て中々場所を見つけて座って見る。というのは難しそうだ。
「まぁ予想は出来てたがな。毎年警護してるし」
「してたんなら、もっと早く言ってよ!そしたらもっと早めに…」
言いかけて銀時は、そういえば少し離れた境内に良い場所があったというのを思い出す。
「?
銀、何処行くんだよ」
「こっち、ついて来て」
祭りで賑う人々を掻き分け、人気が極端に減る場所へと土方の手を曳いて連れて行く。
屋台や川原からは離れてしまうが、とびきり花火が綺麗に見える場所だった。
「すげぇ…」
「でっしょー、銀さんが見つけた素敵な場所」
雲ひとつない空に、色とりどりの花火が打ち上げられていく。
誰もいない静かな境内の前の階段に座り、暫くの間二人は黙って暗闇に咲く花を楽しんだ。
そこでふと、またもや既視感に襲われる。
将軍のペットを無事に見つけて、お礼にと打ち上げ花火を土方の隣で見た時にも感じたもの。
だが、あの時よりも強い。
(…そうだ。俺、前にも土方君と一緒に花火を見に来た。なんで?いつだ?)
「なぁ。万事屋」
銀時が小さな混乱を起こしているところで、隣で黙って花火を見ていた土方が声をかけてきた。
呼ばれてそちらを見れば、光に照らされる彼の横顔に全てを奪われる。
そんな感覚に陥った。
「今日は…来てくれて、ありがとな」
そう言って、少し笑ってみせるからその顔が妙に切なく見えた。
何故だか分からない。だが銀時は、頼むからそんな顔で笑わないで、と心の中で懇願していて。
「なんで…だって、俺も土方君を誘おうとしてたんだよ?」
「いや。でもなんか…ここにお前が居てくれて、良かったと思って」
彼はそう言いながら、己の掌の中の金魚に視線を移す。
「この間…突然、怒鳴ったりして悪かった。
よく考えたらお前…事件の一部始終知らなかったのに。あんな捲くし立てて」
ポツポツと話し出す土方に、
そんな事ないよ。と銀時は言ってやりたかった。
むしろ自分は全てを知っている。知らないフリをしているだけで…
本当は土方よりも、あの事件を起こした張本人の真実を知っている。
『くれぐれも貴方様の身体の秘密は漏らしませんように』
ただ、教える事が出来ないだけで。
「俺、あの時本当にどうかしてるんじゃねーかってくらい、焦ってて…混乱してて…
でもお前が変わらずあの時、現れて…」
分かってるよ。安心したんでしょ?
消えたのが俺じゃなくて…安心したんだろ?
(なーんて考えてる俺はなんていう自意識過剰。でも)
「それでお前を追い返した後…屯所に戻って…考えた。俺と、お前の事」
そう言って、土方が顔を上げてくるから思わず銀時は焦った。
土方から電話が来た時の、別れ話ではないかという自分の焦りようを思い出す。
(ま、まさかここに来て別れ話じゃねーだろうな、土方君…!)
「知ってると思うが…俺は納得出来ない事は、納得するまでやめねェし…お前が訊かれたくない事も訊いちまうかもしれねぇ」
「待って、土方君。俺は…」
「でも言いたくねーなら、それで良いから」
再び花火に2人は照らされる。すいっ、と土方の手の中で金魚が泳いだ。
「お前がどんなに隠し事しようが、脚色しようが俺はお前を信じるし、お前を護るから。だか、ら」
土方の声が震える。銀時は視線を外せない。
「時間がないとか、もう二度と言わないでくれ…」
(傍にいて。
なんて俺達は強請るガラでもないし。
傍にいる。
なんて誓うキャラでもないよね
傍にいろ。
それは多分、服従命令。言葉に出来ずに望んでる事。
束縛にも似た俺の願いが叶えたいモノはただ一つだよ。
きっと)
「ん…ぁ」
込み上げる感情を抑えつつも訴えるように話す土方を引き寄せ、それしか愛する術が見つからないかのように銀時は口付けた。薄く開かれた唇を舌で抉じ開け、歯列をなぞる様に犯していく。
少し口を離しかけた所で、もっと。と強請るような土方と目が合うから余計に煽られ、銀時は押し倒すようにキスを激しいものへと変えていった。
「あっ、ぁ、よろず、や」
本能の赴くままに顎に唇を這わせながら胸元に手を差し入れ、胸板を撫でるとビクッと体を震わせながら切なげな声を土方が上げる。そこで銀時はハッと自分がしている事を思い出した。
「ご、ごめ。まだ、抱いちゃいけねーのに…」
「・・・いいよ。やる」
「へ」
はぁはぁと僅かに呼吸を乱しながら、頬を紅潮させた土方が腕を広げる。
「お前が俺を欲しいなら、くれてやる。何回でも。何度でも。お前の好きにして…いい」