俺の気持ちも知らずに、銀時はえぇー?と残念そうな顔をしてくる。
な、ななんでそんな残念そうなんだよ!
テメーじゃなきゃ嫌だって言葉、普通嬉しいモンじゃねーのか!?
「まあまあ、そう言わずにさ〜」
なんて、俺が混乱している間にアイツは俺の体に手を再び滑らそうとする。
こっ、この野郎…!!
「てめぇえ、嫌だって言ってんだろうがコラァ!!」
「ぐは!」
昨晩のように、思い切り鉄拳がモロに入る。
クソ、アイツを殴りてぇのになんで俺の体殴らなきゃいけねーんだ!
「ちょっ、土方君、DVはやめて!ジミー君だけにしよう!これ、土方君の体だから!」
「俺が嫌だって言ってんのに続行しようとするからいけねーんだろうが!」
「・・・だって、お前がいけないんじゃん」
俺の反撃が気に食わないのか、ピク、と肩を揺らせてこちらを見つめてくる。
その瞳は俺のものの筈なのに、何故かアイツに見られている感覚に陥って無意識に気持ちが怖気づいてしまう。
「い、けないって何がだよ」
「さっき、土方君、言ったでしょ。
『俺じゃ満足できねーか』ってさぁ?ふざけんなよ」
「ふざけてねーよ!大体、テメーが嘘つくのがいけねーんだろうが!」
「嘘?何が?」
「だから、銀時…俺の前では『モテない』とか言ってたくせに、俺の居ない所では、あんなにいっぱい、女と一緒に居て」
畜生、なんでもう一度説明しなきゃなんねーんだ。
俺が嫉妬してる気持ち丸見えじゃねーかよ…
「…ほら、やっぱりふざけてんじゃん。土方君、全然わかってねーよ。だから分からせてやろーってのに」
銀時はそう言った途端、大きく両足を開くと自分の指に唾液を絡め、そのまま俺のアナルに突っ込んで掻き回し始めたのだ。
「ンく、ぁ、やっぱり狭いな、土方君のナカ…
ほら、見える?お前のアナが、俺に抱かれるのを望んでヒクついてんの」
「・・・!」
見せ付けられる自分のあられもない姿に言葉を失った。
嫌だ。見たくない。
こんなの見たくないのに。
こんな自分の姿、自分で見たくない。
この世で、銀時一人が見ればいいものなのに。
アイツの行動を止めるのも忘れて俺は、見まいと目を両手で覆うとするも、それを阻止されてしまう。
「何ビビッてんだよ。触んなくてもいいから見てろ」
「嫌だ、って言ってんだろ!なんでさっきから…!」
「オメーが分からず屋だからだよ。
土方君を俺ナシじゃいれない体に、したのはなんでだと思う?
素直に抱きつかないし、体だって柔らかくないし、可愛い事なんざ一つも言わない。
そんなお前を傍に、俺が置こうとしてるのはなんでだと思う?」
顔を近づけられる。その瞳は潤んでいた。
そう、見えた。
「俺が大好きなのも、抱きたいのも、必要なのも土方君なんです。
護りたい人達や抱え込んだ人達は確かに沢山居るよ?
…だから最期まで護ってやれないけど、それでも傍に居たいと思うのはお前だけなんです。
・・・わかれよ、バーカ」
ぎゅう、と抱き締められて胸が熱くなる。
俺、だけ…?銀時の理想を叶えてやれねーけど…それでも…良いって…
「銀、時。ごめん」
なんか俺、馬鹿みてーだ。
勝手に勘繰って、疑って、嫉妬して、馬鹿だな。
銀時には銀時の生活があって、護りたい人達が居て、それでも俺を必要としてくれてて…。
分かってた筈の事だったのに。
俺もぎゅっと抱き締め返した。少しでも気持ちが伝わるように。
「ごめんな・・・」
そこで感じた違和感。
あれ?今謝ったの、俺だよな?じゃあなんで銀時の声じゃなくて、俺の声で…?
すると、視界には俺の姿ではなく、パチクリと瞬きをしている銀時の姿。
あ・・・もしかして。
「土方君。もしかしてコレ、体・・・元に戻った?」
「だよな・・・?」
ぺと、と確認の為に手を伸ばして銀時の頬に触れる。
するとアイツは穏やかな表情で手の甲に掌を乗せてくれた。
いつもしているような行為なのに、自分の体に戻れただけでとてつもなく嬉しく感じた。
俺、銀時に触れてるんだ。
アイツが大好きだと言ってくれるこの体で。
「銀時…」
・・・『一つで居れたら、離れずに済むのに』とかよく言うけど、俺は嫌だ。
違った体だから、こんなに触れ合える。
相手が何を考えてるのか知りたくなって…不安で…恋しくなるんだ。
何気ない日常も愛しく思えるんだ。
なんとなく、そう思った。
「…やっぱり良い眺めだねぇ、こっちの方がv」
「あ…!」
優しい表情から一転、銀時の視線が俺の体へと向いていやらしくなる。
そ、そうだ!アイツが脱いだから俺、裸だったじゃねーか!
脱ぎ捨ててあった隊服を手繰り寄せようとする手を、銀時に掴まれてしまった。
「何隠そうとしてんだよ、土方君?」
「んッ!」
「晴れて元の体に戻れたんだし、イチャイチャしよーぜ…?」
再びベッドに押し戻され、開かされた脚の間にアイツの体が入り込んできて閉じれないようにしてくる。
そしてそのまま乳首を吸ってくるものだから、たまったモンじゃない。
クソ、なんでコイツ、こんなに乳首好きなんだよ!?
「ぎ、銀時、こんな明るいの嫌だ、せめて照明をもう少し落としてからにしろ!」
「えー?良いじゃない。たまには明るいトコロでヤろうよ」
「ん、うぁ…ッ!」
「はは、今度さ。胸だけでイけるようにさせたげる」
じゅる、と唾液の音をワザと立てながら勃起してる胸の突起を舐めてくる。
あー…畜生、いつもより気持ちいい…
「ねぇ、土方君。ドライオーガズムってあんじゃん」
「な、んだよソレ」
「・・・射精せずにイくんです」
射精せずに…?それってイった事にならねーんじゃ…?
意味が分からず、ボーッとした意識のまま銀時を見つめるとニコリと微笑まれた。
「まぁ、ようは女の子みたいなイき方だって考えてよ…っと」
「待て、やだ、この体勢…あああう!」
銀時は俺の腰を抱え上げ、両脚が胸につく辺りまで折り曲げると晒されたアナルを舐め始めた。
はっきり言って屈辱だった。
部屋が明るいから、俺の秘部をアイツがぺちゃぺちゃ舐めてるのが丸見えなのだ。
第一、シャワーも浴びてねーんだぞ…!?
「むっ、無理、汚い、んッ、ぁ!から、やめろ、」
俺の制止も無視して銀時は俺のアナルを舌で解していく。
なんだかもう、屈辱も羞恥も頭から消えてアイツの舌の動きと舐める音だけが俺の意識を支配して。
「あっ、ぁ、やだ、もう…」
ビクビクと全身が快感に震える。同時に、触られていないクセに勃起している俺自身が揺れているのを目の当たりにしてしまい、思わずグッと目をつむる。
「も…やだ、これ、嫌…」
「ちゅぷ、はぁ…土方君のワガママ。じゃあどーして欲しいのよ」
「・・・・・挿れて・・・」
ようやく銀時が俺の尻から顔を離して言葉を発してくれたから。
少し躊躇った後、俺は自分でもとんでもねーな、と思う台詞を口にした。
だって仕方ねーだろ!?このまま延々と舐められるよりはよっぽど良い。
「いっ挿れて!?今、いれてって言ったの!?土方君が!?ももももう一回言って!」
「言うかボケ!あークソ…!」
熱に浮かされたのも、銀時に『土方君だけ』と言われて気持ちが昂ってるのも分かってる。
でも、止められねーんだよ。
俺をこんな風にしたのはオメーなんだろ?
責任取れ!
俺は窮屈そうにしているアイツの股間に手を伸ばしてチャックを下げ、性器を取り出してやった。
「ひーじかーたくーん。今夜は随分と大胆ですねぇ」
「うっせ・・・あっ、アッ、ぁ」
「うぁ・・・あったけぇ…」
雄を片手で支えながら、そこに自らツプリと腰を下ろして熱いモノを迎え入れる。
俺の体内に入った途端に銀時が気持ち良さそうにプルッと奮え、声を出すから余計に感情が高まった。
「んっ、ん、銀時は…大胆なのは好きじゃねぇ…?」
「好きですよ?土方君なら、なぁんでも…」
「あっぁ、馬鹿、大きくなるな…!」
「無理。止まんない」
銀時のが俺のナカでいきなりデカくなるから文句を言うと、それを遮るように囁いて口付けてくる。
コイツのキスは、悔しいけど上手いから気持ちいい。
キスが…舌を絡ませて愛撫する事が、こんなに気持ちい事なんてコイツとキスするまで知らなかったんだ。
「やっぁ、なんか俺、今日、変…な気がする」
「へぇ…どの辺が?」
「分かんねぇけど…変な、気持ち、が」
「変じゃねーよ…はぁ、欲情してんだよ。土方君」
銀さんにさぁ・・・?
ニタリと嫌な笑みで、白銀の瞳が俺を試すように歪むから、一気に体が熱くなった。
揺さぶられてるのは体だけじゃなくて心もなのかも…
「欲情ついでに、いつもと違う事してみよっか?はい。ちゃんと俺に掴まって」
「え・・・?
ちょ、何・・・やっ、やだ、いやだぁ!」
腕を銀時の首に巻きつけられ、そしてアイツは俺の腰をしっかり抱いたと思うと、立ち上がったのだ。
フワリと浮く感覚とズンッと重力が足されてより深くなる挿入に目尻から涙が零れる。
「いあっ、ぁ、ああっ、恐い、コレ、っは、銀時!」
「はぁ、はぁ、駅弁ですよ〜感じますか〜」
「ふざっ、ふざけんな、こわ、恐、い、恐いぃい」
あまりのバランスの悪さに両腕と両脚で銀時の体にしがみつく。すると余計に締め付けが増したのか熱い息を吐いてきたが、俺はソレどころではない。自分でも何を言っているのか分からないくらい混乱していた。
「土方君、はッ、、ひじかた…俺ね、…俺は今日一日お前になって、
さびしかった・・・」
「え…?あっ、ぁあっ、ダメ、動かすな、ぃっあああ!」
唐突に言ってくる言葉を聞こうとしたのに、アイツはガンガン前立腺を擦って揺さぶってくるから…ビクビクビクッと体が痙攣して射精もしないで、本当にイってしまったのだ。
「あ、今イった…よなぁ?ど?」
「く、苦しい」
イった筈なのに、射精出来てないからずっと高みに上っている状態だ。今動かされたら、またすぐさまイってしまう予感すらする。
そんな俺はアイツにしがみつきつつも…その搾り出すように出された言葉に耳を傾けたくて、ヒクつきながらも俺は訊いた。
「なんで、寂し…かった?」
「…なんか真選組での土方君はやけに男らしいしさ?皆に求められてるしさ?
まぁ、結局は、お前と似たような気持ち、だったんだろうけど」
アイツはおろすね、と優しく言うと体は繋げたままだったが俺をベッドにおろした。
銀時がいきなり真面目に話を戻すから、さっきまで恐い恐いと叫んでいた自分が恥ずかしくなる。
「昔の事も思い出すし・・・」
「昔…?んっ」
寂しげな顔をしながら、ベッドに銀時も乗り上がると俺の腰を抱え直す。
「俺、ね。自分の中で決めてるモンが一つあってね。それがあるから生きてけるんだけど」
「ぁ、っ、あっ、知って、る。」
「だからさ。自分の生き方を後悔した日はねーんだけどさ、時々、不安に、なるんだ。
これで、良かったのかなって」
俺は銀時の過去を知らない。
きっと捨ててきたものも、諦めてきたものも沢山あるんだろう。
彼の手の僅かに残ったもの…そう。今の銀時しか俺は知らない。
アイツと過ごしてきた少しの日常の中での、ほんの少しの事しか知らないけれど。
「・・・馬鹿だな、お前」
「すみません。この話の状況で馬鹿はないと思うんです、けどっ」
「うあ!?」
馬鹿、と言われたのが気に入らなかったのかグッと腰を奥に進めてくる。上等だコラ!
「だってお前が俺に言ったんだろーが!テメーのルールを護る為に、生きてんだって」
屋根の上で決闘して…あの時のはまともな会話とは言えなかった。けれど剣を交えて知った。
銀時の生き方。護りたいもの。生きてる意味。
「だったらそれを信じて貫け。俺をこんな体にした奴が…情けねー事口にしてんじゃねーよ」
「・・・はは。
なんかさ、もう。本当、土方君って…」
「コラ待て、待っ…あっ、あ、早ェって、ば…!」
「ズルイよね」
そう。俺達はずるくてどこか似てて、ようはお互い様。
それでも傍に居たいから、こうしてキスして体を繋げて、それが非生産な行為と言われても構わない。
アイツの体に入ってたった一日だけの体験だったけど、とりあえず嫉妬とか寂しいとか感じるだけ無駄だと知ったから。
俺達の日常は、つまりお互い以外のものでも構成されてるから、生活がズレるのは仕方のないこと。
だから会う度に愛しくなるのかも知れない。
なんて、な。
*万事屋*
「銀ちゃーん!昨晩はどこに行ってたアルかぁあ!また二個チンコの所アル!?」
「え?嘘でしょ?嘘ですよね銀さん。嘘だと言ってください」
*真選組*
「副長ォオオ!なんですか、このメイド姿のノリノリ写真は!」
「というか、今日こそ一緒にお風呂入ってください!」
「「アイツ…何をどう俺の体で一日過ごしたらこんな展開になるんだ?」」」
おしまい!