ネクロフィリア
「…なんの唄だ、ソレ」
今日は神楽は新八の家へお泊り。
久々に羽伸ばせるなぁと思ったけど、
よく考えたら土方君も非番だった事を思い出し。
即誘ってセックスに明け暮れる俺達は
まだまだ若いんだなァとか考えちゃうよ。
一段落して、二人でお風呂。
一人でも割りとキツキツだけど
なんか一緒に入りたくて
嫌がるアイツを無理矢理浴槽に。
イイ想いさせてやったんだから
少しぐらい言う事聞けよなぁ。
という感じで、響く浴室で俺は鼻歌を歌うと
土方君がツッコミを入れてくる。
…わざわざそんな所まで気にしてくるとは…
「聞いた事ねぇぞ」
「あったりまえじゃーん、銀さんが作詞作曲だもん」
今まで背を向けていた身体を
ふふんと土方君の方へと反転させる。
意外そうな顔で見てくるからなんかショック。
「何ソレ。なんでそんな顔すんの?」
「…だってお前、音感とか芸術的なものと
かけ離れた場所で生きてそうだから」
「あ、ちょっとむっかー」
ふざけた言い方をしながら、
俺は相手の脚の間に身体を滑り込ませる。
不意を突かれた、という顔が可笑しくて
思わず唇にちゅー。
「…お前って、キス好きだよな」
「そ?」
キスに応じた土方君が、俺の輪郭を指でなぞりながら
頬にもキスを落としてくる。
「だって気持ちくない?」
「いや、そういう意味じゃなくてよ…なんつーか」
ちゅっちゅっと音を立てて、
喉、肩にまで下りてくる。
あーヤバイって。絶対ココでヤるつもりでしょ。
「ん、なんつーか何?
ってかお前、こんな所で銀さんに発情?」
「…テメーがこんな体にしたんだろうが…!」
言いながら土方君がもどかしそうに体を寄せてくる。
うーん。ちょっと焦らしちゃおうか。
「ごめ、ちょっと体力的に無理だわ。…チンコの擦りあいなら出来る」
「…上等だコラ」
「…うぉ」
俺達が動く度、チャプチャプと揺れる浴槽の湯。
なんだかその音にすら興奮して
欲情している事に気づいた。
「んんっ、ね、土方君…?」
俺の性器に己の雄を宛がう相手の肩口に唇を寄せ
痕をつけるようにちゅう、と吸い上げて聞く。
「あ、ん…だよ?」
「さっき、のっ続きは?」
あーヤバイ、超気持ちい。
感じてる土方君の表情を見ると
余計に感じる身体が疼いていく。
「ああ…なんか、お前って、身体は許しても」
ああ、やばいなぁ
「心は許さない、って、感じ、っ、だからよ」
本当、やばい
「キスが好きとか、意外に思ったんだ」
なんで土方君っていつも、核心ついてくるんだろう
「あら、分かってる、じゃねーの、あっ
だから、俺、お前に心を許したつもりなんかねーけど」
死んでくれないかな。
出来れば俺の知らない所で。
そして骨になった彼の欠片に
きっと初めて俺はキスを出来る。
憂鬱さとか、涙とか、優しさだとかそういうの
隠しているモノをそういうの全部
いつか見透かされそうな気がするんだ。
土方君は俺に似てるから。
持っているものは違くても
秘めてるものが同じだから
だからそれが全てバレてしまう前に
死んでくれないかな。
死んだら、愛してあげるから
「へ、ぇ、そいつは、どーも…」
ねぇ、傷ついた?
傷ついちゃった?
ああ、でも想像すると少しだけゾクゾクする。
死んだ彼の唇に口付けとか。
「あっ、ねぇ、実はさっきの歌ね。
お前の為に作った曲なんだよ」
俺の作った旋律で永遠の眠りにつく君を
抱き寄せて口付ける。
でもあの御伽話のように
キスで目を覚まさないだろうから
ああ、ねぇ。
それを考えてる自分に、笑いが込み上げるよ。
「…何の歌だよ」
「え?…愛の詩」
ずっと昔に死んでしまった筈の俺の心が
君のキスで目を覚ましてしまったというのに
fin.