『セックスなんてさぁ、要は本能デショ?』
いつだか銀時はそう言った。
犬でも猿でも出来るのに
人間まで狂ったようにえっちすんのは
何でかねぇ?
どう思う、土方君。
そんな事を言われても、
と当時の土方は思った。
銀時が言うには、
セックスという行為自体には感じないのだという。
例えば相手の臀部を叩いたりだとか
例えば自分に許しを乞う様を見たりだとか
そういう相手の姿に快感を覚えるのだという。
そんな彼に
いいように性を翻弄される自分は何なのだろう、
と土方は思うのだ。
銀時は自分を好いているからではなく、
只スパンキング出来る都合の良い
セックスドールなんじゃないのか。
そんなの空しい、と思うのと同時に
自分がそういう風に扱われている事に
快感を覚えているのを
土方は必死で気付かないようにした。
「あっれー神楽ちゃーん。熟睡してんのかなー?」
「ぎ、銀時、もうやめ…あうっ!」
「体勢崩すなって言ってんだろ。
大通りで犯されてーのかコノヤロー」
だが、今はそんな事も言ってられない。
何処で手に入れたか分からない拳銃を
挿入してくるどころか
次は寝ている同居人を起こそうとしているのだ。
小声でなんとか制止しようとしても
ぐぐっと更に奥まで突っ込まれたモノに
びくびくっと体が反応してしまう。
「あっ、ァ、いやぁ…!!」
そしてとうとう、乾いた粘膜を擦りあげながら
銀時はぬちぬちと出し入れを開始させたのだ。
バイブのように、体内に入れるように設計されていない
拳銃の銃筒は容赦なく土方に痛みをもたらす。
「あらら。神楽ちゃんてば起きてきてくんねぇなぁ」
「あっイ、たい、銀時、痛い…!」
呑気にそんな事を言ってくる銀時に
土方は必死に訴える。
すると後ろ手で縛られた手首をグイッと引っ張られ
指先をぎちぎちに拡げられたアナルへ導かれた。
「なに、」
「痛いんだろ?じゃあ自分で拡げればよくね?
そんくらい縛られてても出来るでしょ」
「うぁ…っ、ぁ」
無理矢理己の指で拡げさせられ
あまりの羞恥にブルリと体が震えて
頼りない声が漏れた。
「ふふ、ヤらしい土方君のケツ…」
「やっ、ぁ、動かすな、ぁつ、ぁ…あ!」
「噛みついてやりてぇ…」
「あっく、ん、ん、!」
背後から囁きながら
グッグッと出し入れする銀時の手が早まり
同時に土方の股間にも指が這う。
歯を喰いしばろうにも耐え切れず、
快感に声が揺れた。
「うんッ、ふ、は、やだ、イ、いっちまう…!」
「イけば?ほら、やらしーミルク吐き出せよ」
「・・・っ」
どぷりと精液を出し、ガクリと力が抜ける。
途端、トンという足音が近づいて
土方はギクリとした。
神楽が起きてきたのだと思ったのだ。
だが。
「あら、定春君が起きてきてくれたの」
予想に反して、目覚めたのは万事屋の犬だった。
少女ではない事に安心したのも束の間、
性の匂いに反応したのか
目覚めて来た巨大犬が
ハッハッと興奮しているのに気付く。
「あ、良い事考えちゃった、銀さん」
ペタリと床にへたり込んでいた所を
頭を掴まれてそのままうつ伏せの状態で
押さえつけられた。
「あのね、土方君。
最近うちの定春君が発情期でさぁ、大変なんだよ」
「え…?」
「まぁ男の子だからしょうがないよね。
で、飼い主元からコイツ用のフェロモン薬貰ってね」
その辺の穴にこれぶっかけて、
発情を発散させてあげてって言われたの。
言いながら彼は、液体の入った子瓶を取り出す。
「初めは適当にオナホールでも買って
ヤらせようかとも思ったんだけど」
「や、だ」
銀時の意図が読めた土方は
否定するように首を横に振る。
だが彼はズルリとアナルから拳銃を取り出し。
「手伝ってくれる?土方君」
「い、やだ、嫌だ!本当に無理だ!」
要はメス犬になれという事だ。
確か犬の射精時間は長いし、
第一あんな巨大犬のモノなど入るわけがない。
だがそんな抵抗も空しく、
瓶に入っていた液体がトロトロとアナルにかけられる。
「銀、時、やめ…ろ・・・」
「大丈夫、俺に似て定春もテクニシャンだからv」
楽しげに彼は言うと、
愛犬においで、と呼び寄せた。
スンスンとフェロモンをかけられた臀部に
犬の鼻が押し当てられて匂いを嗅がれているのが分かる。
逃げられない。
そう悟った土方は
ぐっと拳を握った。
(俺はメス犬。
舐めて、鳴いて、吠えて、振って
鳴いて
啼いて
ないて、
泣いて
枯れるまで)
「あぁ…ッ」
のしっと前足が逃れないように肩に乗っけられたかと思えば
そのまま、まだ柔らかいモノが
ずぷりと体内に侵入してくるのが分かる。
ゾクゾクしたものを背中に感じながら
土方は深呼吸を繰り返した。
いくらかけられた液体で滑りやすくなってるとはいえど
相手はあの巨大犬の雄だ。
銀時のモノとはわけが違う。
「うぁ!?いぁ、っあ、何…!?」
入り込んできたものが突如ムクリと大きさを増す。
括約筋が広げられる圧迫感に
一気に気持ち悪さが増した。
「やぁ、あ!」
ぐつ、と前立腺を抉られ
不快感と同時に快感が込み上げる。
襲い来る極端な感覚に
目を見開いて土方は喘いだ。
「ワン公はねぇ、膣に入れてから勃起すんだってよ?」
こちらの苦しみも知らずに
へらへらと笑いながら銀時が
うつ伏せに組み敷かれた土方の
顔の前にストンと座る。
「しかも、射精時間も長いみたいだから困ったモンだよなぁ」
「ぁっ、く、やだ、ぁ、いやだ…!」
内股に、犬の毛が触れるのが分かる。
想像を絶する太さのモノが出し入れされる事に
土方は泣きじゃくった。
神楽がこの家に居て、すぐそこで眠っている事は
もう意識の外にあった。
「ぎ、とき、やだ、もう、苦し、い」
「もーお前ってホントにワガママだね。
銀さんの家族のペットになる事も出来ないの?」
仕方ねーなーと言いながら
銀時は自身を取り出して
必死で息を吸って吐くを繰り返している
土方の口の中に突っ込んだ。
「んむ!んッ、ん・・・!」
「うるさいお口はチャックでーす。
さすがに神楽にはこんなトコ見せたらマズイし」
俺が銃に犯されてるトコは
見せてもいいのかよ…!
と心の叫びつつも、
口は銀時、更に大きいもので後ろから定春に犯され
土方はどうにかなってしまいそうだった。
相手が腰を動かす毎に前立腺を刺激され
自身はその度に床で擦られる。
「んっ、ん!んー!!」
ドクン、と体内の定春のモノが脈打つ。
射精するのを察した土方は
叫んで銀時に訴えるも
止めるどころか髪を掴んできて
フェラを一層激しいものにさせる。
「ふうっ、ぅ、んむぅ…!!」
じゅぷっじゅぷじゅぷ!
と前後で水音が重なり始める。
次の瞬間にはびゅるびゅると
定春のモノが土方の体内で弾けた。
「んー!!」
ビクン!と体を反らし、
銀時のペニスを咥内に咥えながら叫ぶ。
思わず逃げ腰になるも更に犬に押さえつけられ
抜く事は許されない。
「ふうっ、う、うぅ…!」
終わらない射精に
自然と涙がボロボロと零れた。
自分の腸の中に注がれていく。
銀時でない液体が大量に注がれていく。
自分の腸の中が満たされていく。
ましてや人間でもない精液に。
なぁ、銀時。
お前俺に前さ、セックスなんざ
犬でも猿でも出来るって言った。
なのに、なんでお前は
いつも俺にセックスを求める?
犬にさえ体を差し出せと命じるのはどうして?
アイツがどうしようもない性格で
ひどい性癖を持っているのも知ってる。
…いつだって俺が逃げ出せるように
鍵を開け放しにしてるのも、知ってる。
いつだって扉は開いているのに
逃げ出せないのはどうして
「土方君、生きてる?」
土方が目を覚ますと、
そこは万事屋の風呂場だった。
銀時に顔射された所までは覚えているが
いつあの犬の射精が終わり
気を失ったのかが全く覚えていない。
「気持ちよかった?」
全裸の銀時がクスクス笑いながら
指で土方の髪をいじってくる。
朦朧とした意識の中では
とても彼の顔が綺麗に見えた。
それがどうしてだか、土方には分からなかったが。
「そんなワケ…ねーだろ…」
「嘘ばっかり」
力なく答えると、
ちゃぷり、と音を鳴らして抱きかかえ直される。
どうやら湯船の中で銀時に抱かれているようだ。
「超良さそうに笑ってたよ、お前」
今日は銀さん以外のモノでいっぱい欲情しちゃったね。
いけない子だね、土方君。
まるで子どもを叱るような言い方をしてくる。
それが妙に哀しかった。
悲しいのに。
「やぁだ。また硬くなってるよこの子」
「ん・・・っ」
言葉でなじられ、
再び土方のモノが勃起する。
それに気付いたのか手を伸ばし
銀時は耳に舌を入れてくる。
「銀、時、俺は」
ほら、銀時が自分に求めるのは性だけだ。
分かってる。
知ってる。
しってるはずなのに。
それを知ってて
自分は銀時に良いようにされるのに。
「お前の、『なに』なんだ・・・?」
浴場のせいか声が響いた。
別に震えているわけではないと
自分に土方は言い聞かせた。
「なに、俺が欲しいの土方君」
僅かな沈黙の後、は!と彼は鼻で笑って言う。
それにすら自身が反応する事に
土方は嫌気がさした。
「こんなに愛してるのに、まだ分からないの?」
愛?
これの何処が?
排泄して無機質に犯され、
挙句の果てに、動物に犯され
それを傍らで微笑んで見てるのが
「好き、だとか愛してる、だとか言えばいいの?」
そう。
アイツはいつだって逃げる術を用意してる。
「キスして、抱き締めて、優しく服を脱がして?」
そう。
いつだって鍵は開けっ放しで
「愛撫して、キスマークつけて」
いつだって、扉は開いてて
「そんな陳腐な愛し方でイイワケ?」
そう、つまりはなにもなかった。
「そんなん誰にでも出来るんだよ」
初めから逃げる場所も
拘束する鍵も
閉まっている扉も
「俺は、お前にしか出来ない事をしたい」
初めからなにもなかったんだ
「分かってくれる?」
堕天使が囁く
そんな彼に勝手に捕まって
勝手に囚われて飼われた俺は
おれは。
EnD.