あんな男となんか、別れてやる…!!




<僕はSで、君はM>





いつものように、普通のセックスをする筈だった。
(否、もうやめろと言っても
自分が満足するまでやめないのがアイツなのだが)
アイツの家で、アイツの寝室の畳の上で
薄っぺらい布団を敷いて。



「ねぇ、土方君」



風呂にもちゃんと入った。
アイツに汚いトコは見せたくないから
特に性器の辺りは入念に洗った。


「お前、今日便秘?」


冷ややかな声で訊かれてギクリとする。
そう。
いつもはちゃんとトイレに入ってから
アイツとの行為に及ぶのだが
今日は腹の調子が悪いのか出なかった。


「やっぱねー。
 俺ン家来てから、いつもみたいに
 トイレ入んねーからそんな予感はしてたけど」

「し、仕方ねーだろ、
 そんな毎日、腹の調子が良いワケじゃ…」

「じゃあ、出させてあげよっか」


ニン、と彼は嫌な笑みを見せて
俺の肩を掴んだと思うと
うつ伏せにさせて布団へと押し付ける。
そしてそのまま、着流しをぺろんっと
めくってきたのである。


「ま、まさか銀時、」

「あれ?察しがいいのね、土方君。
 じゃんじゃじゃ〜ん、浣腸器〜」


どこから取り出してきたのか
彼の手には注射器に似た物体があり、
中では液体が波打っている。
それを視界に入れた途端、さああと血の気が引いた。


「いやっ、やだ、やめろ!!」

「なんで?排泄行為って一番性を刺激させるんだってよ?」

「ふざけんな、勝手に興奮してろ!」


騒いで暴れても、組み敷かれて押さえつけられては勝ち目がない。
更にコイツは異常な程のバカ力。
そうこうしている間にも、簡単に下着を脱がされる。


「土方君のこーんな可愛いケツから
 汚ぇモン出ると思うと、なんかゾクゾクするよね」


見えなくても、アイツが笑んで俺の尻を撫でているのは
嫌でも想像出来た。


「上等だ、この変態!
 いいか、そんなモン俺の中に入れてみろ。
 後で家中のジャンプと甘味燃やしてやる!」

「燃やせば?そんな事させねーから」


言葉で制止出来る筈がない。
なんとか腰を動かして逃れようとするも
がっしりと掴まれ、アナルに浣腸器の先端を感じる。


「はい、息吐いて」

「ひっ、あ、嫌だ、やだ!本当に嫌だ!!」

「そんな鳴いても、銀さんの嗜虐心煽るだけよ?」

「あ、ああ…」


腸内に、きゅううと液体が流し込まれていく。
ぎゅうっと目を瞑ってシーツを握り締める。
注がれていく感覚に気持ち悪さが込み上げた。


「よいしょ」


俺とは違って軽快な声を上げながら
アイツは栓をするように俺のアナルに何かを突っ込む。


「アヌスストッパーつけたから。
 まぁ土方君、自分じゃ外せないだろうケド
 勝手に外したら…」


分かってるよね?

堕天使が俺の耳元で囁きかける。
ぐるる、と音を立て始めた腹に
変な汗が大量に噴出すのを感じた。


「じゃ、俺ちょっとコンビニに買い物行ってくるから」

「や、やだ、置いて行くな、こんな状態で」

「10分くらいで戻ってくるからさ。
 それまで漏らしちゃだめだぞ〜」

「・・・!」


叫べば、それだけ腹に負担がかかる。
それだけは耐えなければいけない。
痛みに堪える俺を置いて
彼は本当に出かけて行った。


「…ッ、は、あ」


苦しい。

苦しい。


腹が痛い。
変な汗が出る。
嫌だ。

もう嫌だ。

別れてやる。


あんな男となんか、別れてやる…!! *



土方君が、今頃俺の部屋で
必死に腹の痛みに堪えているのかと思うと
嫌なくらい笑みが込み上げた。

可愛い土方君。
馬鹿な土方君。


『明日、オフなんでしょ?
 今夜は神楽居ないから、家に俺一人なんだ。
 …泊まりに来ない?』


その時は、誰が行くかよ、と言って見せた彼だが
夜にはエロイ着流し着て登場した。

可愛くて馬鹿で、素直な土方君。
愛しいよね、大好きだよ。

そんな彼が、セックスする前には
必ずトイレに行くのに今日はソレがない。
あ、もしかして出ないのかなー
どうしよう、ゴムねーよー…なんて考えて
そこでふとこの間、長谷川さんに借りたSMのAVを思い出す。

陵辱モノで、スカトロあり。
スカには興味なかったけど
俺の可愛いあの子が排泄なんて想像したら、
なんだか可笑しなくらい試してみたくなって。

小銭形のおっさんから貰った浣腸器セット。
でも浣腸液がないから酢で代用した。
初めてだし、土方君がお風呂に入ってる間に
あんまり濃すぎない液を作って
彼が上がるのを待って。


実行した。



「ただいまー」


いちご牛乳とお酒を買って来た俺は
風呂場から洗面器を持ってきて
俺を待つ土方君の元へ向かった。


「ぎ、…と、き」


瞳を潤ませて、布団の上で腹を抱えた彼に睨まれる。
よほどキツイのか涙目の土方君。

惜しいね、もうちょっと泣いててよ。


「厠、行か、せろ…!」

声を擦れさせても尚、彼は強気に言う。
だがそんな土方君を嘲笑するかのように
俺は持っていた洗面器をドサッと落とした。


「トイレには行かせない。この洗面器にシて?」


驚愕で彼の目が見開かれる。

ああ、ねぇもっとその目でもっと俺を見て。
どうしようもなく屈服させてやりたくなるから。


「ふざ、けるな。馬鹿言うのも大概に…!」

「あっそ。嫌ならいいよ?
 そのままお腹、グルグルいわせてれば?」

「うあああ!!」


追い討ちをかけるように
俺は近づいて彼の腹を押す。
すると土方君は泣きながら叫んだ。

あーもうヤバイ。ホントに可愛い。


「う…っく、分かった、ソコで、するから、」


生理的な涙をボロボロと流しながら彼は訴える。
愛しくて仕方なくて、俺は頬に触れて。


「マジでか。じゃあ銀さんが抱えててあげるね?
 ちっちゃい子が、うんちするみたいに」


皮肉っぽく言ってみても
もう抵抗する意思がないのか
土方君が弱々しく俺にしがみついてくる。


「わ、別れてやる」


洗面器の上に出せる位置で
開脚させる形で抱え込んだ所で
声を震わせながら土方君は言った。


「こんな、こんなの…もう嫌だ!
 テメーとなんざ、別れてやる…!」

「へーえ?そうですか。
 その割には、ちんこ立ててんの何処の誰?」


指摘されて、ハッと自分のペニスに視線を向けた土方君は
勃起しているモノを見て嗚咽を漏らす。


「本当は好きなくせに、別れるとか言える立場かよ


 変態ドMな土方クン」



そしてアヌスストッパーを外してやると
泣きながら彼は排泄し、同時に射精さえして見せた。

可愛いね。
上手に出来たね。

親のように褒めてやると、
理性を失くしたかのように俺に縋りついてくる。


可愛いね、お風呂に行って洗おうね。
そう言って彼を抱え上げて風呂場へと向かう。


愛しい土方君を想いながらも俺は
次は定春で獣姦も良いかも、なんて考えた。


ねっ、土方君?


EnD.


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