君の事を、これからも
考える。
考えてしまうよ。
俺は自分の事ならなんだって耐えられる。
でも君達を辛い目には合わせたくないんだ。
ねぇ、だから本当は。本当はね。
未来の話をする事が本当は、いつも怖くて仕方ない。
どうせ、最期は皆居なくなってしまうんだから。
(そんな事を考えてしまうんだから)
シャワーを浴びながらなんだかそんな事を考えてるのが馬鹿らしくなって、栓を止めて適当にタオルで髪と体を拭いて、まだ少し濡れたまま土方君が眠り続ける布団へと潜り込む。
(馬鹿らしい、馬鹿らしい、馬鹿らしい)
なぁ、俺弱くなっちまったよ。
攘夷戦争の時―白夜叉なんて呼ばれてた頃は怖い事なんて一つもなかったのに。
お膳立てされて戦って、失って、滑り落ちて、もう背負い込まねーって決めて。
それでもまた荷物担いで生きてる。面倒くさいと知りながら。
護るものが出来てしまえば、弱くなる事を分かっていながら。
馬鹿らしい。馬鹿だよね。
ねぇ…
途端、頭をポンポンと撫でられるから俺は目を開いた。
すると眠っていた筈の土方君が、寝ぼけた様子でこちらを見ている。
そして相変わらず彼の手は俺の頭を撫でたまま。
「なに、してんの。お前」
「わっかんね」
眠たげな調子で土方君は呟く。
完全に寝ぼけてる。だから『髪も濡れてるし、もうやめろ』って言おうとしたのに。
「でもなんか、こうしてやった方が良い気がして」
土方君の言葉にじわ、と熱いものが目尻に浮かぶ。
それをばれない様に俺は土方君に擦り寄った。裸の体が心地よい。
「…なぁ」
「ンだよ」
「俺ね、お前らと会えて思ったんだけどさ。すげー楽しくて、嬉しくて」
「うん」
「時々、このまま俺の終わりが来ちまっても良いと思う時が、ある」
護るものは何も変わっていない。
なのに護るものは幾度も失ってきた。
だからまた失ってしまう前に、終わりがきてしまえば良いと思う時もあるけど。
「でもな、土方君の顔見たら、明日も生きたくなった」
明日も、土方君や皆に会いたい。
皆と一緒に笑って、傍に居たい。
「俺もだよ、銀時」
寝言なのかどうか分からない。
でも眠りに入る際に土方君がそう呟いたから、俺は明日も生きてみることにした。
この身が呪われていようとも、少しずつ考えていこう。
君のとの未来を、これからも。
END.
戻る