いつも整ってるネクタイにスーツ。
のりの利いてそうなシャツ。
男のクセにやけに整った顔立ちをした彼は
女生徒に人気だった。
そして分け隔てなく生徒達に接する彼は
男子生徒からも好感を得ていた。

俺も例に漏れず彼に惹かれていたが
皆のように親しみや好意ではなく
あのお綺麗な顔や服をメチャクチャにしてやりたい。
という願望に満ちた目で彼を見ていた。

元々そういう気がある俺は
見るAVもSMモノばっかりだし
セックスする女もどちらかと言えばマゾ女ばかりで。
(マジ、クスリが効いてる時の締め付け具合が半端ねー。
クスリなんて俺に従う女じゃなきゃヤってくんないしね)

そんな少し逸れてる自分が
更に逸れて教師、しかも男にそんな欲望を向けている
なーんて信じられなかった。
最初は。

でも、あの声が教科書を読む度
あの指がチョークで黒板に文字を書く度
俺の嗜虐心は駆り立てられていく。

鳴かせてやりたい。
あのハスキーボイスを淫らに喘がせてやりたい。
脱がせてやりたい。
ネクタイを解いて、あの目を羞恥心で泣かせてやりたい。

ヤってやる。
犯してやる。


「土方センセ」


覚悟しろよ


「ん?どうした、坂田」
「分かんねートコあるんで、放課後教えてくれませんかー?」







しかし、念入りに立てた計画がパーになる。
彼が生徒に押し倒されて焦るのを前提に
俺は事を進める筈でいた。

それがどうだろう。


「どうした?坂田」


この、彼の余裕具合は。


「なんだ、もしかして怖気づいたか」


挑発するように彼の瞳が歪められ
カッと身体が熱くなる。
それをお見通しなのか笑みさえ浮かべてきた。


「残念だな。俺を甘くみてたみてーだけど
 お前になんか押し倒されても、へでもねーよ」


彼はそう笑って黒髪を揺らす。


「ガキはガキどうしで盛ってろ」


・・・銀さん、非常にムカつきました。

俺は不敵に笑むその唇を奪いながら
ネクタイやシャツに手をかけて脱がせていった。
その間も彼は悶えも抵抗もせず、
俺の行動を見守っている。

それが余計に腹が立って
ズボンのチャックを乱暴に下ろし
下着もズボンも取り去った。

ぶるり、と現れた彼の性器に
思わず唾を飲むと鼻で笑われる。

「ほら、どうした坂田銀時。
 土方先生を犯すんじゃなかったのか?」


両脚を広げ、晒された穴を自ら指で拡げてくる。
しかし、全く興奮していないのか
彼のペニスは明らかに反応していない。

そして、猫目が試すように俺を見据える。

大人のにおい。
大人の余裕。
大人の雄。

同世代のオンナじゃ知らない事を識ってるオトコ。

俺の全てを超越してる、彼。



「・・・ッ、あ」


導かれるように彼の体内に自身を突き立てた。
さすがに声を抑える事は出来なかったらしいが、
それでも俺が望んでいたような喘ぎではない。


『いや、許してっもうやめて、イく、イく、いやああ!!』


いつも俺の下で獣みてーに鳴く女共とは違う。
どんなに腰を突き動かしても
彼は翻弄されずにされるがままになってる。


「・・・っう、土方、先生、ぇ、キツ、い」

「あぁ?何言ってやがんだコラ。
 もっと締めてやろーか?」

「・・・!!」

俺自身を飲み込む括約筋が
思い切り締まられ、狭くなる。
あまりの快感に意識が持っていかれそうになった。

「ちくしょ、お」

悔しさに俺は達する寸前にペニスを引き抜き、
彼の髪を掴み寄せて顔射してやった。

綺麗な顔に零れた精液は妙に厭らしく、
達したばかりだというのにまたもや
下半身が反応する。


「ふ…若ェなぁ、坂田」


赤い舌をペロリと出して彼は
顔に出された俺の精液をペロリと舐める。


「まだ俺、イけてねーぜ…?」


生徒に大人気の土方先生は
男に犯されても色香を放つ。

初めは只の好奇心に似た嗜虐心。

それが俺の下で妖艶に笑む土方先生を見たら
そんなのはどーでも良くなって
相手が教師や男とかどーでも良くなって

まるで阿呆のように魅せられてしまった。



*


「おはようございます、土方先生」

「ああ、おはようございます。伊東先生」


改札を出た所で俺は伊東先生に会った。
軽く挨拶をして二人で学校へと向かう。


「もうすぐ定期試験ですね。
 土方先生はもう試験対策はされました?」

「いや、それがまだなんだ。
 そろそろ始めなきゃとは思ってるんだが」

「…そうですか。実は僕もなんです。
 それなら」


伊東先生の手がかすかに俺の尻に触れる。
でもまるで何事も無いかのように勿論振舞う。

同期というのもあり、
彼とはいつも生徒についての相談をしたり
時には飲みに行ったり


「土方先生。なら今夜、一緒に対策しませんか――?」


時には、ベッドの上の関係だったり。


「悪ィな、今夜は先約が」

「そうですか。それは残念」






試験対策よりも、授業よりも何よりも。
今の俺には嵌っている事がある。
それは伊東先生にも言えない事だ。




「ねぇ、土方センセ。どこ?」


ちゅぷ。
いやらしい音と共に夜が始まる。


「どこが感じるんですか?」

「…いい加減に覚えろよな、坂田」

「分かってないですよね、先生って。
 俺は言わすのが好きなんです」


俺の部屋に入った途端、
彼は待ち焦がれていたかのようにキスをし、舌を入れて上顎を撫でながら
器用に俺のスーツを脱がせていく。

初めて押し倒された時も感じたが、この辺のテクニックに関しては彼は相当な手練の様だ。


「へぇ、じゃあ俺に言わせてみろや」


きっとセックスには自信があったのだろう。
なのに一向に落ちない俺に
彼は焦れているようだ。


「ヒイヒイ言わすの得意なんだろ?」


俺は自らネクタイを解き、己のシャツの襟元のボタンを外す。
挑発するように舌を出してレロリと唇を舐めると彼の瞳に、雄の色が彩られた。

ちゅ。
と音を立てて、彼は俺の乳首をシャツの上から吸って見せた。
時折舌で転がしたり、歯を立ててもう片方の乳首も指で摘まんで念入りに胸を攻めてくる。

おかげでアイツの唾液がシャツにシミを作って
自分で言うのもなんだがいやらしい。

(でも、残念だな、坂田。
俺が感じるのは首筋でも乳首でもなくて、背中)

「・・・はぁ、ねー。少しくらい声出してくれませんか。
 すげーツマンナイんですけどぉ」

「そう言うなら出させてみろって言ってんだろ。
 それともなんだ。テメーは突っ込むしか能がねーのか?」


ニタニタ笑ってそう追い討ちをかけると、
ムッとした彼は突然顔を足元へと下ろす。
フェラでもするのかと思い様子を伺っていると彼は俺の靴下を脱がせ始めるからギョッとした。


「…何してるんだテメー」

「生徒に向かってテメーはないっしょ、センセ」


躊躇いなく口を開けた彼は俺の足の裏や指の間に舌を這わせ始めた。
滅多にソコでは感じないれろれろとした感覚にゾクリとしたものが背中に走る。


「ねぇ、先生ってさ」


俺が普段は見せない動揺を察知したのか彼は10代とは思えない笑みを浮かべてそう訊いてくる。


「どんなオナニーすんの?」

「…そんな事聞いてどうする」

「え?だって気になりますよ。
 チンコもケツも平気で見せてくれる先生じゃさァ
 フツーのオナニーじゃイけなさそうだなって」


言いながら、彼は俺の股間を撫でてくる。


「ねぇ、テーブルの柱に股間くっつけてさ
 上下に揺すってチン擦りしてみてくださいよ」

「お前の前でか?」

「はい、勿論。
 だって先生は体を攻めるより、
 ココロを攻めた方が効果がありそうなんで」


誰かの前でオナるのなんてあまり興奮はしない。
だから彼が言う事に素直に従ってみせた。
テーブルの柱の内の一本にローションを塗り、
その近くにペタリと座ってまだくにゃくにゃな自身をピタリとくっつける。

奴は羞恥プレイのつもりだろうが、俺には効かない。
そう思いながらも初めての自慰の仕方だ。
恐る恐る腰を動かし始める。


「・・・っ、は」


冷たい金属の感触に息を呑む。
こんな無機質なモノ相手じゃ相当イくのに時間がかかる・・・。


「腰上げてもっと早く擦んなきゃ、土方センセ?」


彼の声が背後から聞こえ方と思いきやシャツがめくられた。

背中は、マズイ。
そう思っている間に手が差し込まれる。


「ッ、あ」

「どうしたんですか?先生。早くしてくださいよ」

「う、く、ぅ」


これ見よがしに彼は背中に指を這わせて来る。
ビクン、ビクンと身体が反応して
嫌でも声が漏れてしまう。


「ほら、先生。
 イジめられなきゃイけない
 いやらしいオチンチン、擦って見せて?」


かつてない優勢さに
彼はどうやら確信を持ったようだ。


「んぁッ、ぁ、あ」


そう。
俺はどんなに乱暴に犯されても
ただひたすらに自慰をさせられても感じない。


「あはは、可笑しいなぁ。
 先生が超可愛く、見える…」


言葉で辱められて
初めて俺は感じる事が出来る。


「あっ、ぁ、坂田、ぁ、」


テーブルの柱に自身を擦りつけながら
俺は彼に跨って
所謂騎乗位の状態で繋がっていた。


「分かる?感じる?
 俺のちんぽ、先生のおまんこが可愛く銜え込んでる…」

「あっ、や、言うな、んんッ!」


彼は俺を下から突き上げて言葉で攻めて
俺はソレを受けながら自らを擦りつけて自慰をする。

ああ、余裕がない。
こんなのは初めてだ。


「せんせ、ねぇ、土方先生、」

「あっッなん、だ、よ?」

「はぁッ、あっ、俺、アンタに嵌りそうですけど、コノヤロー」



試験対策よりも、授業よりも何よりも。
今の俺には嵌っている事がある。
それは伊東先生にも言えない事。


「…上等、だ」



色狂いな生徒に、阿呆なくらい魅せられてる。



「俺をもっと満足させて魅せろ…っ!」



End.



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