寒かったから、なんて口実だ。
お前を温めたいから、だとか口実だ。
気持ち良くさせてやりたいから、とかいうのも多分口実。

「っ、は、ぁ」

本当は俺が抱きたいから。
本当は俺がお前に入りたいから。
本当俺が、お前を愛したいから。
理由を述べるなら、口実を前提に色々思いつくけれど。

「あっ、あっ、ぁ、ああぁ」

お前の声を聴いてるとそんなんどうでも良くなる。
もっと乱して喘がして、すがり付いて欲しいだけ。
それだけ。
辛いモンとか汚いもんとか醜いモンとか綻びたもんとか薄れていくものとか失っていくものとか、
今はそんなの忘れて、求めたい。
只きっとそれだけだよ。

お前が好きだよ。
それだけだ。

「んっん、も、もう…っ」

じゅくじゅくじゅく。
土方を四つん這いにさせて、尻たぶを開いて、露わにされた可愛いアナルに舌を這わせ、レロレロと嘗め回し、ヒクつき始めたソコに今度は舌先を突っ込む。
世間一般では一番汚いと言われる場所をぐちょぐちょと唾液の音が響くくらい舐めるのは正直抵抗があるし、(というか、土方以外の奴のなんざ絶対に舐めないけど)でもそこを舐められてるという背徳的な屈辱に近い快感を彼に与えられているこの状況は、楽しい。

「ん?もう、なに?」
「だっ、だからっもう良いだろ、ソレッ」

どんくらいの時間を舐めていたか分からないけれど、さっきから断続的にビクンビクン体を震わせていた土方が、痺れを切らしたかのように訴え始める。
俺と言えば、そんな彼にほくそ笑み、小刻みに震えている尻をペチペチと叩きながら答えてやった。

「それって何ってば。銀さん分かんない」
「わっ分かるだろ普通!今までお前がやってた事だよ!」
「えー分かんないなぁ。俺、最近物忘れ激しくて」
「てめっ、ふざけんな・・・ひぁ!」

本当、嫌な事なんて忘れられちゃえば良いのにね。
でも嫌な事が無くなった俺の人生ってどうなるんだろ。

そんな事を考えながら、意地っ張りな恋人の蕾に再び口づける。ちゅうっと音が聞こえるように吸い上げれば、羞恥に耐え切れないかのように土方がシーツを強く握るのが視界に入った。ベッドに波打つシートの皺さえ、彼が作ったものだと思うと愛しく見える自分は最近、だいぶキてるんじゃないかと思います。アレ作文?

「もう、本当、頼む、から…!」
「だーからさ。何を?言えば良いじゃん。簡単だろ?」
「あっぁああ、だ、だから、」

ニヤニヤ笑いながら、指先でふやけるくらい舐められた土方の尻穴を撫でると、声を上げながら土方が恥を忍んで言おうとする。そうそう、その調子。

「俺の、尻を…なぁ、これ本当に言わなきゃダメなのか」
「うん。賢い土方君なら出来るでしょー?」

急かすように押すと、観念したのか彼は声を小さくしながら言った。

「く、そ。
 もっもう、俺の尻を、舐めるの、やめろ…!」
「畏まりました、女王様」

本当はもっと大きな声で言わさせてやりたかったけど、土方がキレだしても嫌なので意地悪はこの辺で。俺の唾液でベタベタになったアナルから指を離すと、顔を真っ赤にしてこちらを向く土方と目が合った。

「お前、物忘れする割には、ソッチは元気じゃねぇか」
「・・・あら、本当」

土方のアナルを弄ってる間に自分でちょっとシコったけど、可愛いコイツを見てたかかは分からないけど、挿入できるくらいの硬さにはなっていた。うーん、まだ若いのねぇ俺も。
こんな舐めてるだけで興奮しちゃうとかさぁ。

「そこで胡坐かけ」

なんて考えてる間に、不機嫌なんだかよく分からない表情をしながら、土方君が膝立ちして俺に命令してくる。あら今日はやけに積極的とか思ったのも束の間。
今まで自分から入れるなんてしなかった土方が、俺の足を跨いで自分の体内に俺の雄を迎え入れようとしていた。

「み、見るな」
「いや、それは無茶ですけどガン見ですけどグハァ!」

だって、土方が自分で対面座位しようとしてるんですよ。
しゃがんで自分でケツの穴開いて、俺の息子さん支えて挿入しようとしてるんですよ。
見ねぇ筈がねぇだろ!脳裏に焼き付けて今後も何度も脳内再生してやらぁ!
と見つめていたら、顔面パンチを喰らいました銀さん。
何このバイオレンスな人。見られるの嫌なくれぇならやんなっつの!

「ん、ぁ」

片手で俺の肩を掴みながら息を吐き、土方がゆっくりと腰を下ろす。
女のようにぬぷっとした感覚ではないが、それでも温かい肉の感触に彼の中に入った事を実感した。
見ると怒られるから、土方の顔をばれないように見てみると、気持ち良さそうに目をつぶっているのだ。目尻に涙を溜めてるし。

「あ、っ、ん、んぅ」

やべ、やばい。
これはやばい。

「あ…?ちょ、オイ、てめぇ銀時!何、でっかくして…」
「ごめん土方。もう無理。動くから」
「は?無理って、待て待て待て、や、ん!!」

一気に土方のカラダの中に入り込み、相手が思わずしがみついてくるのを利用して俺は彼の尻を掴み、ガツガツと突き上げた。
やばい気持ち良い。土方の中、超気持ち良い。

「あっ、ぁああっ、待てって、言って、んんっ」

制止をかけてうるさい恋人の胸の突起をかじり、腹と彼の雄が擦れあうように動く。
やばい、やばい。
ゾクゾクして仕方ない。
鳴いて、鳴いて、もっと声を出して。

「くそ、後で、あっ、覚えてろよ…!」

言葉



失うくらい





没頭して


「あっ、」

土方の背中を支えながらベッドにおろし、正常位にする。
騎乗位で下からガンガンに攻めてやっても良いけど、土方を見下ろせるこの体位が俺は好き。

「んぁっ、銀時、深い、ぃ」

繋がったまんま土方の腰を持ち上げてマンぐり返しの状態にする。
いつも真選組の訓練でしなやかな彼の体の柔らかさ故に、深く挿入できるのだ。
土方が現役で良かったと思いながら再びピストンを始める。

「あっ、ぁあ、」

ズコズコと腰を振ると先程まで文句を言っていた口が、甘い声を上げる。
それを聞いていたい筈なのに、それ以上に土方に口付けたくてその唇を奪った。

「ふ、ぅ」

角度を変えて貪り、舌を絡めて歯茎をなぞる。
何度も繰り返してきたキスが飽きないのは何故だろう。

「はぁっ、あっ、あああっ、銀時、ぎんとき、ぃ」

ああ、温かい。
とても土方は温かい。
外は寒かったし、だから温めたかったし、気持ちよくさせたかったし
その反面、俺は土方を抱きたかったし、土方の中に入りたかったし、愛したかった。
色々な感情がうずまくけど、でも、多分、本当はシンプルで。

「ひじかた・・・」

そんなのどうでも良くなるくらい、土方が好きだ。
その強い双眸と、生き方がとても好きだし、意地っ張りな所が好きだ。
いつも一生懸命で全力だから、それをおちょくるのが好きだ。

好きだ。好きだよ。

「いなくならないで」

俺に、『お前の護るものはなんだ』と訊いてくれたお前が、好きだよ。

願いは、彼が果てるのと同時に聞こえないような小さな声で祈った。
いつまでも一緒に居れるわけじゃない。
そんなの分かってる。
俺達は絶対に生きている限り一緒にはなれない。

一緒に居ればいるほど、離れた後に辛くなるのは分かってる。
大切にした分だけ、失ったときに悲しくなるのを知ってる。

でもそれでも今は幸せなんだ。
好きな人の隣に居れる事は幸せなんだ。
だから今だけはどうか、誰もこの時間の中に入ってこないで。

目を背けてると言われても構わないんだ。
だって彼と居る時は、彼が俺に美しいものだけを見せてくれるから。

だから、どうか、

突然居なくなったりしないで。
その為だったらどんなものからも俺は、守ってみせるから。

ねぇ内緒だよ。
こんな弱い俺が、俺の中に居る事。

「銀時、明日、となりのペドロ2見に行こうか」
「えーどうしようかな。またお前グスグス泣き出すんじゃねぇの」
「んだとコラ。ポップコーン投げるぞ」

明日の話をしてくれるお前を、まだ俺は失いたくないんだよ。



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